立場によって受け取り方は様々だが中国人を中心とした運転免許の外免切替騒動。府中運転免許試験場ではあまりの朝からの行列に10月28日から予約制とすることを決めた。
先の日本在住の中国人はこう話す。
「日本で国際免許の切り替えができれば世界の多くで運転できるようになる。中国人からすればこんな夢のような話はないし、例えばオーストラリアやドイツは中国人だと切り替えに厳しくて落ちるから簡単で信用ある日本で切り替えてから、とも聞く。その日本の運転免許の信用が落ちないか、そうなったら申し訳なく思います」
外国人といっても様々なのは当然の話だが、この10月には埼玉県川口市で飲酒運転かつ時速100キロ以上で逆走した18歳の中国籍男性が衝突して事故相手の日本人が死亡した。川口市では9月にもトルコ国籍の同じく18歳が少年2人をひき逃げ(うち1人死亡)して逮捕されている。
2015年に浜松市で中国籍の女性が信号無視で5人を死傷させた事故はこの10月に高裁が「統合失調症の症状が悪化」として逆転無罪とした。長い裁判だったが「たくさんの外国人が運転する国」となるならやるべきことはまだあるように思うし、日本人だって事故を起こしていると言ってもこれでは広く理解は得られないだろう。
差別がどうこうではなくこの国の交通安全と運転免許制度の国際的な信用の問題、外国人の運転に関して日本に制度上の問題があるなら是正しなければそれこそ軋轢が増すばかりだ。お互いのためにもならないし、ドライバーも含めた働き手の不足を解消するつもりとするならそれは順序が違うのではないか。いよいよ「お人好し」では済まない問題になりつつあるように思う。
日野百草(ひの・ひゃくそう)/出版社勤務を経て、内外の社会問題や社会倫理のルポルタージュを手掛ける。日本ペンクラブ広報委員会委員。