歴史的なシーズンはいよいよクライマックスを迎えた。ワールドシリーズ制覇へ突き進むドジャース・大谷翔平(30)にとって最後の“高い壁”がヤンキース主砲であるアーロン・ジャッジ(32)だ。この物語はどんな結末を迎えるのか。【前後編の前編】
ニューヨークとロサンゼルスの超人気チームによる43年ぶりの決戦で、現地も沸きに沸いている。在米ジャーナリストで『ルポ 大谷翔平』の著者・志村朋哉氏が言う。
「近年は地味なチーム同士の対戦もあってワールドシリーズの視聴率が低迷していたが、黄金カードで大盛り上がりです。特に大谷とジャッジという現役最高選手2人の対決は、米国メディアが伝えるストーリーでも最大の目玉。2022年のア・リーグMVP争いでも“どちらが上か”の議論が盛り上がったが、改めて米国の記者やファンの最大の関心事になっている」
2022年のMVP争いはリーグ新記録となる62本塁打のジャッジが制し、二刀流で15勝・34本塁打だった大谷が後塵を拝した。米国メディアは「当然だ」とする論調だった。
「投手としてもエース級の大谷はメジャーで最高の価値がある選手ですが、今季のような“打者だけ”で見ればジャッジが上なのも事実です」(志村氏)
今季、日本では大谷のメジャー初となる「50-50」が大々的に報じられたが、ジャッジはさらに凄まじい数字を残した。58本塁打、144打点、打率.322でア・リーグの本塁打王と打点王。大谷もナ・リーグの本塁打と打点で二冠だが、54本塁打、130打点、打率.311で3部門ともジャッジに届かなかった。『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑』編著者の友成那智氏が語る。
「ジャッジのシーズン62本塁打を超える記録を持つ選手はバリー・ボンズら3人がいますが、いずれも後に禁止薬物の使用が発覚した。“ガチンコ”のジャッジは実質的なメジャー最多本塁打記録保持者と認識されています。ジャッジが大谷より優れているのは、安定して本塁打が出てスランプがないところ。チャンスにもしっかり結果を残す。今季の得点圏打率.336は大谷の.283を大きく上回ります」