「私は国会議員になってまだ8年3か月ですけれど、献金を一銭も受け取っていません。企業団体はもちろん、みなさんのような善良な市民の方からも。可哀想だから100円あげる、と言ってもダメです。
派閥に属していないので派閥のパーティーも個人のパーティーもありません。団体献金も全部お断わりしてきました。後援会も作らない、後援会長も置いていません。こういうことはみんなができるとは思いませんが、一つのモデルとしてきました。そして派閥とカネ問題にぶつかりました。自由民主党現職議員であっても言うべきことは、主権者の方にありのままに話します」
この話の切り出しでは裏金問題で非公認となった下村批判にしか聞こえない。どうやって下村氏の支援を呼びかけるのだろうか、と取材班もびっくりして聞いていると、「自由民主党の議員は『裏金と言うな』という人もいますが、私は裏金だと思います。なぜかというと、集まってきたお金を政治資金収支報告書に記載していなかったということは、その分の使い道を知られたくないということですよね」と演説は続いていく。
結局、応援部分は、「私は下村博文さんにも問うべきことは問うていますし、何よりも下村博文さんが世襲の議員じゃないということをもう一度再評価しています」というもの。下村氏の演説を聞きに来た支持者らしい聴衆も首をひねっていた。
同じ叱咤激励でも、松井氏の萩生田氏への応援演説とはかなり違うテイストだった。結果は明暗を分けた。