東京税関が押収した大谷翔平選手の偽ユニホーム(時事通信フォト)

東京税関が押収した大谷翔平選手の偽ユニホーム(時事通信フォト)

中国、東南アジアを拠点に偽グッズを売りまくる

 あるはずがなかった河村選手のNBAユニフォームを購入した女性に、通販サイトの該当ページ(すでに削除)を教えてもらってチェックすると、確かに不自然な点が多い。掲載されているユニフォームの写真には、本物同様にメーカーのロゴやチーム名が記されているが、販売元は見たことも聞いたことがないメーカーだ。さらにそのメーカー名で検索すると、ユニフォーム以外にもサンダルや財布、化粧品などあらゆるものを販売している「メーカー」だということがわかるが、当のメーカーのオフィシャルサイトはどれだけ探しても見つからない。前出記者が続ける。

「そうした業者のほとんどは、中国または東南アジアに拠点を置いていて、スポーツ系の偽グッズの他にも、安価な化粧品や雑貨などを売りまくっているようです。しかし、どれも低品質で値段以下ともっぱら。大手通販サイトだけでなく、InstagramやTiktokなど若者に人気のSNSの広告経由、または中国系の通信販売アプリを通じるなどしてガラクタや偽物を世界中に売りつける。中には、そのガラクタから人体に影響があるとされる化学物質が検出されたりして、また別の大きな問題が発生している例もあります」(前出記者)

 都内にある大型スポーツ用品店の店主も、呆れたような苦笑いで説明する。

「大谷選手や河村選手だけじゃありません。バスケなら八村塁選手(ロサンゼルス・レイカーズ)、サッカーなら久保建英選手(レアル・ソシエダ)の偽ユニフォームまである。いや、日本人だけじゃないんです。世界中の人気アスリートの偽グッズが売られていて、そのほとんどが中国の業者が製造した粗悪品。これらはアメリカやヨーロッパにも流通していて、正規品を販売するショップの脅威になっています」(スポーツ用品店店主)

 河村選手の偽ユニフォームを購入したという女性に改めて事情を聞くと、極めてバツが悪そうに「確かに安いと思った」と俯くが、本当に「本物だと思って」購入したのか、という点については最後まで言葉を濁すのみ。では、偽物を販売している業者側の見解はどうなのか。

 筆者は、中国・河北省や雲南省にあるとされる、偽グッズを販売する「ブランド」に問い合わせたが、特に回答はなかった。

 前出の記者やスポーツ店店主が言ったように、これら販売者のほとんどが中国国内に拠点を置いているようにも思えたが、一部には、連絡先が日本国内の住所になっているものもあった。

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