一発逆転ホームランを打つとしたら、ここしかなかった
──そもそも橋本さんは、子供のころは無口でネガティブで、大学時代(関西学院大学)もお笑いサークルなどには入っていなかったんですよね。
橋本:よく「落研だったんですか?」と聞かれるんですが、違うんですよ。なんもやってませんでした。
──しかし、<人生で発揮した唯一の勇気>によって吉本に入り、お笑いの道に進まれた。なぜこのときだけ、勇気が出たのでしょうか?
橋本:一発逆転のホームランを打つとしたら、ここしかないと思ったんでしょうね。自分は保守的な人間だとわかってたんで、ここで路線を変えないと、このままいってしまうぞと。自分のことを半分好きで、半分は嫌いやったんやと思います。なんにもない22年間に、どこかで決別したいと思っていたんです。
──<半分は嫌い>は、芸人になって変わりましたか?
橋本:結局、どこにいっても、自分は自分なんですけど……芸人のみなさんによって変えてもらったのかなと思います。芸人にさせてもらった、という気持ちです。
ラテ欄をくまなく読むと、面白い番組が”におい”ます
──お笑い好きになったきっかけとしては、橋本さんは、テレビが大好きだったんですよね。お笑いはもちろん、ドラマ、バラエティも大好きだった。お母さん、お祖父さんもテレビ大好で、テレビっ孫(ソン)だったとも書かれています。新聞のラテ欄をくまなく読んで、面白い番組を探していた、というエピソード、「細かいところが気になる」橋本さんらしいなと感じました。
橋本:大学生のとき、めっちゃヒマやったんで、明け方まで起きてたんです。で、家のポストに新聞が配達されたときの「がしゃん」っていう音を聞くと、すぐに取りに行って、ラテ欄をチェックしていました。当時はネットニュースもないし、お金がなくてテレビ雑誌を買うのももったいないから、ラテ欄だけが頼りやったんです。
深夜帯に、一回だけ放送されるような、謎な番組がありますよね。そういう掘り出しもののような番組を、ラテ欄の一行とかから探すのが楽しかった。3文字、4文字の情報からでも、におうんです。これ、おもろそうやな、っていうのが。