かつて評論家の江藤淳氏は、1997年の新進党分裂騒動の渦中で窮地に立つ小沢一郎氏に対し、信念をよりよく生かすために、「小沢君、水沢へ帰りたまえ」と直言した。
牧島氏が進次郎氏にかけた言葉は、小沢氏に惚れ込むからこそ放たれた江藤氏の直言にも似ている。
「国際情勢が激しく動くなかで、政治の現実は進次郎君を放っておくわけもなく、歴史のページをめくる旗頭となれる彼の下にきっと人は集まるでしょう。時間はあまりないかもしれません。
かつて小泉内閣ができたのは、土建国家政治として残っていた『田中(角栄)支配を潰すのだ』という信念の純一郎さんと『反竹下(登)』の田中真紀子氏が結んだからです。
歴史は繰り返すものです。日本が二流の大国になるのか、安倍支配を終わらせてもう一度蘇るのか。進次郎君の世代の頑張りにかかっています」
(前編から読む)
【プロフィール】
広野真嗣(ひろの・しんじ)/ノンフィクション作家。神戸新聞記者、猪瀬直樹事務所スタッフを経て、フリーに。2017年、『消された信仰』(小学館文庫)で小学館ノンフィクション大賞受賞。近著に『奔流 コロナ「専門家」はなぜ消されたのか』(講談社)
※週刊ポスト2024年11月22日号