下積み時代の笑助さん。笑瓶さんと同じ黄色い縁のメガネをつけている

下積み時代の笑助氏。師匠・笑瓶さんの黄色い縁メガネをかけている

《東京のテレビ局から帰ろうとしたタレント、笑福亭笑瓶の元へ先日、弟子入り志願の19歳の若者がやってきた。彼と同じ大阪出身。高速料金をけちって一般道を走り、車に寝泊まりしながら3日がかりで上京していた。「芸人養成所もあるのに『何で俺なんや』と聞くと、『弟子がいないし、一番弟子になればかわいがってもらえる』という》

 笑瓶さんは笑助氏の姿に、若かりし自分を重ね合わせていたようだ。

《笑瓶も16年前、深夜のラジオ番組を終えた師匠の笑福亭鶴瓶を放送局でつかまえ、弟子入り志願したからだ。「あの時のオレの気持ちと同じやな、と思うとうれしくもあり、複雑でした。若者とは翌日も東京駅で会い、自分の体験を聞かせ、『もう一度よく考え、半年後にいらっしゃい』と伝えました」》(注:実際に翌日に会ったのはテレビ局の喫茶室)

 再び大阪のテレビ局で笑瓶さんを出待ちをして、改めて弟子入りを志願。すると、笑瓶さんは「ほな、やってみるか」と、1997年4月に上京が決まった。当時笑助氏20歳、笑瓶さん40歳だった。

「師匠の自宅近くに家賃3万円のアパートを借りて、下積み生活を始めました。朝、師匠の自宅周辺の掃除をして、仕事先の現場までの運転。車降りて楽屋に入るまでカバンを持たせていただいて、着替えを少し手伝ったりもしました。そして本番を見させていただいて、仕事が終わって家に帰るまでの車で、世間話の延長みたいな感じで私のいろいろな話を聞いてくれました」

 しかし、帰りの車中が時には“稽古場”となり、笑瓶さんが激怒することもあったという。

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