容積適正配分型地区計画とは、用途地域が指定された土地などにおいて、容積の範囲内で容積を再配分する仕組みのこと。容積率が低い区域の余剰容積分を他の区域に振り分けることで、良好な市街地環境の保全と高度利用を併せて行うことができる。
主に民間施設の再開発で利用されてきたスキームだが、渋谷区の再開発事業では、公共施設を巻き込んで容積適正配分型地区計画が適用される。今回の再開発事業において、神南小学校および隣接するマンション「渋谷ホームズ」は、同じ街区とみなされる。そのうえで小学校の容積の一部を「渋谷ホームズ」に振り分けて、さらに小学校の脇を通る区道を廃道宅地化した分も同マンションの敷地に組み入れるといった措置がとられるのだ。
これにより、「渋谷ホームズ」の容積率は1000%に倍増。1975年築・地上14階建ての同マンションは、34階建てのタワマンへ生まれ変わることになった。
デベロッパーである東急不動産と清水建設は、「渋谷ホームズ」の容積率アップと引き換えに、老朽化が進んでいた神南小学校の建て替え費用を負担する取り決めとなっている。しかし、新築の高級タワマンとなった「渋谷ホームズ」が生み出すであろう利益と比べると、たとえ建て替え費用を全額負担したとしても莫大なお釣りが来る計算だ。