「目先の利益だけを追求している」
「しぶや区民の声を聞く会」の事務局長で不動産鑑定士である森口英晴氏も、西脇氏とともに再開発事業に反対している。森口氏は、「一般的なマンション紛争であれば、このたびのような反対運動はしません」と断言する。
「『渋谷ホームズ』が新築のタワマンに生まれ変わることに対して『パークコート渋谷』が僻んで文句を言っているように捉えている方もいるでしょうが、これは決して単なる“お金持ち同士のマンション紛争”ではありません。
私が立ち上がったのは、この再開発事業が、区とデベロッパーの癒着によって区民が不利益を被るような構図になっているからです。
神南小学校の一帯は大通りから奥まったところに位置しているため、区道が廃道になれば、あの辺りに大型の車両が入っていくことは難しくなるでしょう。それによって周辺施設の改修工事だけでなく、火災発生時の救助作業などにも影響が出るのではないかと危惧しています。
高齢者や体の不自由な方が区役所の正面口に車で乗り付けることもできなくなります。目先の利益だけを追求し、将来のことや万一のことを全く想定していない再開発事業ではないでしょうか」(森口氏)
今年9月、ついに一部の渋谷区民らが区道の廃道を差止めようと東京地裁に訴訟を提起した。
(後編へ続く)