〈防犯カメラがないところをチェックしていました〉
文通取材は2021年11月、津山事件の裁判員裁判が行なわれている頃から始まり、以降、約3年間にわたって続いていた。手紙での一人称が〈アタクシ〉となっている理由は、彼が2023年7月の手紙で突然、こう宣言してきたことによる。
〈少し前に読んだ本で、サザン・オールスターズの桑田佳祐氏の著書、「ポップス歌手の耐えられない軽さ」にて、桑田氏が自分の一人称を「アタシ」「アタクシ」と言っていて、これを真似てみたんです〉
それ以降、ずっと〈アタクシ〉と称しており、重大事件への関与を認める手紙においても〈アタクシ〉表記がなされていたのだった。
筆者は勝田容疑者がたつの市の事件で逮捕された後、弁護士を通じて容疑者の最新の肉声を得ており、彼はさらなる“犯行の手口”を明かしていた。そこからは、逮捕直後までは関与を認めていた津山事件の供述内容との類似性も垣間見える。まず容疑者は、常に防犯カメラのない場所を確認していたと語っていた。
「普段から、防犯カメラがないところをチェックしていました。あと、防犯カメラがあるかどうかは、実際に物色を予定している現地に下見に行って、防犯カメラがないかどうかをチェックしています。簡単に言えば行き当たりばったりです」
2004年の津山事件でも容疑者は、津山市内の商業施設駐車場に車を停めたのち、防犯カメラに映り込まないように非常階段を降り、現場に向かっている。そして小学校や学習塾など、こどもが集まる場所に向かい、好みの女児を探すのだという。津山事件でも小学校付近で被害女児を見つけ、尾行したと供述していた。