〈これまで犯行を積み重ねてきました〉
しかし、保護者でもない“大人の男”である勝田容疑者がこうした場所にいれば不審に思われる可能性があるが、彼なりの策を講じていたようだ。「まずは怪しまれないように、ずっとケータイをいじりながら、一般人のフリをして歩いてみたり」(同前)していたという。
女児を襲うには「『人通りが少ない、車が通れない細い道』がベストポイント」(同前)だとも述べる勝田容疑者。そのような場所で「これまで犯行を積み重ねてきました」(同前)と語っていた。行き当たりばったりとは言いながらも、このように“積み重ねた”犯行が、2004年の津山事件、2006年のたつの事件、そして今回逮捕となって2007年の加古川事件なのだろうか。
犯行後も、ただ闇雲にその場から逃げていたわけではないようだ。「犯行後には『着替え』を用意して同一人物と思われないように変装をしています」とも語っている。今回の加古川女児殺害事件における逮捕後、取り調べに何を語るのか。二転三転させることなく、ありのままを証言してほしい。
【プロフィール】
高橋ユキ(たかはし・ゆき)/1974年、福岡県生まれ。ノンフィクションライター。2005年、女性4人の傍聴集団「霞っ子クラブ」を結成しブログを開設。以後、フリーライターに。主に刑事裁判を傍聴し、さまざまな媒体に記事を執筆している。『つけびの村 山口連続殺人放火事件を追う』(小学館文庫)、『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』(小学館新書)など、事件取材や傍聴取材を元にした著作がある。