検察官:「(靖国神社に)落書きをするのは、財産的な被害より大きいとは思いませんでしたか」
姜被告:「両方大きいと思う。私は海が好き、雲の90%は海。海が汚れたら雲が汚れる、そうしたら雨が汚れる」
検察官:「靖国神社に行ったとき、お参りしている人はいませんでしたか」
姜被告:「いました」
検察官:「そういう人が悲しむとは思いませんでしたか」
姜被告:「日本は1億3000万人の人。でも海が汚れたら80億人が悲しむ」
処理水にこだわりを見せる姜被告。取り調べ調書によると、姜被告は『海洋汚染で海鮮料理を食べるのが恐くなった』と供述していたという。
検察官:「でも、AとBが来日した際、海鮮系の居酒屋で食事していますよね」
姜被告:「3~4か月、実際に食べませんでした。でも、一生食べないものだと思い、悲しみながら食べました」
その後も処理水を理由とした動機を供述した姜被告。しかし、その抗議の姿勢が、なぜ靖国神社への汚損行為なのかということについては、最後まで言及されることはなかった。
2013年に来日して以来、10年以上日本で生活していた姜被告。後編記事では、姜被告が日本人から受けたと主張する“パワハラ”の内容や、語った靖国神社への想いについて詳報する。
(後編に続く)
【プロフィール】
普通(ふつう)/1984年、東京都生まれ、大阪在住。裁判ライターとして年間約1,000件の刑事裁判を傍聴。事件規模に関わらず全国で傍聴を行い、X、YouTube、noteなどで発信している。その他、裁判への関心を高めるための傍聴の引率、大学での講義などを手掛けている。