1974年12月に公開され、その官能的なシーンで男性客のみならず女性ファンからも圧倒的な支持を集めた映画『エマニエル夫人』。一般映画として公開され、当時は連日、映画館に長蛇の列ができた。公開当初に映画館で観たというシンガーソングライターの嘉門タツオさん(65)が、半世紀を経て当時の熱狂と興奮を振り返った。
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当時、私は高校2年生でした。ちょうど性に目覚める思春期の真っ只中。そんな折に、女性にアピールするポルノとしてテレビなどで盛んに宣伝されていたのが『エマニエル夫人』でした。シルビア・クリステルさんの美しさに目がくらむようでした。金髪美人への憧れのようなものもあったと思います。
その頃、私は剣道部に所属していて、マネージャーの女の子と付き合い始めたばかりでした。そこで彼女に「どうしても『エマニエル夫人』を観たい!」と頼み込んだんです(笑)。当然、彼女もどういう内容の映画かは知っていました。何度もお願いしたら、彼女も半ば諦めたように「あなたがそこまで言うなら」と了解してくれました。これが、私たちの初デートでした。
ポルノ映画にはおじさんばかりが席を埋めている陰鬱なイメージがありましたが、いざ映画館に入ってみると、若い女性のお客さんもそこそこ入っていて、びっくりしました。
今にして思えば、ストーリーも曖昧でよく分からないし、表現も比較的にソフト。でも、思春期の男子には十分刺激的でした。彼女に「すごかったな」「綺麗だったな」と興奮気味にしゃべったのを覚えています。フランス語の響きも妙に色っぽかったし、特に印象に強く残ったのは、あのテーマ曲でした。