「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助さん(当時77)を殺害した罪に問われていた元妻・須藤早貴被告(28)の裁判員裁判。須藤被告は殺人罪と覚醒剤取締法違反の罪に問われていた。12月12日、判決を見届けようと大勢の傍聴人が詰めかけた和歌山地裁で、法廷から出てきた人々が興奮気味に話した。
「無罪! 無罪だ!」——22回に及んだ公判を複数回傍聴したライターが語る。
「裁判長は『元妻が殺害したとするには合理的な疑いが残る』と無罪判決の理由を語りました。最も大きなポイントは、事件性の核心である『須藤被告が野崎さんにどうやって覚醒剤を飲ませたのか』を、検察側が具体的に指摘できなかった点でしょう。
野崎さんが摂取した覚醒剤は食事や飲料に混ぜても強烈な苦味があり、飲み込むことは難しいとされていた。あるとすればカプセルに入れるやり方ですが、遺体からのカプセル成分検出は指摘されていない」