12月13日、六代目山口組が恒例の「事始め式」を実施した。事始めといえば、すす払いなどを行ない、新年を迎える準備をする日のことで、かつては広く行なわれていた。
「事始めを行なうことでヤクザ業界は一足先に新年を迎えたことになります。六代目山口組では今年1年の振り返り、司忍組長と直参昇格した二次団体組長の親子盃、来年の組織指針の発表などが行なわれる。その後は納会が始まり、コンパニオンを呼んでカラオケ大会も催される」(実話誌記者)
本来は神戸市にある総本部で行なわれるが、特定抗争指定を受けたことで使用制限がかかっているため、近年は静岡県浜松市にある傘下の組事務所で行なわれている。
取材班が7時に現場到着すると、すでに全国各地から動員された50人以上の警察官、メディアがガレージ前に集まっていた。式の準備のため、前日から会場入りしている組員も少なくないというが、彼らは警察やメディアの視線も意に介さず忙しく準備をしている。時折、事務所付近の車道で一般車両が渋滞しそうになると組員が誘導していた。
8時27分に巨大なシャッターが開くと、黒いスーツに白いネクタイの執行部、直参組長がずらり。左胸には直参組長だけがもらえるプラチナ製の代紋バッチ、通称「プラチナ」が輝いていた。
また、竹内照明・弘道会会長、津田力・倉本組組長、安東美樹・竹中組組長ら若頭補佐のジャケットには「立会人」と書かれた紅白の名札が。森尾卯太男本部長らには「見届け人」の名札があり、この日も盃が行なわれることが窺える。
また、5年前の抗争事件で殺人未遂などの罪に問われ、今年10月に神戸地裁で無罪判決が下された中田浩司・山健組組長の姿も確認できた。
まもなく一台のベンツが入り込み、司忍組長が姿を現した。この日はグレーを基調とした服装でデニムジャケット、オフホワイトのセーターと青いストールなどを着用していた。
しかし、ここで警官がざわつく。必ず出迎えにくるはずの人物の姿が見られなかったからだ。No.2である高山清司若頭だ。近隣県警の刑事は「昨日来て前泊していたのは確認しているが、体調不良か?」と漏らしていた。
「高山若頭が現在の六代目山口組を指揮しているといっても過言ではなく、分裂抗争の終結の鍵を握る人物でもある。もちろん七代目の最右翼です。たしかに近年では杖をつくようになり、体調不良説も根強いが……いずれにせよ高山若頭の健康状態に注目が集まるのも仕方のない話だ」(同前)