「環状線の理論」
──2人の仕事である「話芸」「伝統芸」とプロレスに共通点はあるのか。
伯山「入場曲と出囃子、前座という存在。徐々に使える技も増えていくなど、プロレスとの共通点は多いです。寄席はプロレス的なトリに向かって盛り上がっていくような感じがある。格闘技的な潰し合いの会もあれば、生かし合いの会もあり、共通点は多々ありますね。師弟なども共通した面白い所だと思います。もっとも伝統芸能の世界では師匠に手を出しませんが、プロレスの世界では社長も殴れるので、良い世界だと思います。清野さんはどうですか?」
清野「お客様がいるというのが共通点ですかね。お客様に喜んでもらうことが最大の目的です。ただし、伝統芸能が師匠と弟子の関係性を築いて芸を継承しているのに対して、プロレスはその関係が曖昧になっている気がします」
──「お客様」という言葉がありましたが、客を呼ぶために「興行」では何が必要になるのでしょうか。
清野「(アントニオ)猪木さんの言う『環状線の理論』だと思います。環状線の外、つまりジャンル外に向けた話題作りと技能でしょう。伯山さんは見事に実践されているので、素晴らしいと頭が下がります。これが出来るのが『選ばれた人』であり、ジャンルを背負える人なのでしょう」
伯山「いえいえ、ありがとうございます。清野さんの仰る通り、興行はお客様がいるかどうか、喜んでいただけるかが勝負で、それはチケットの売れ行きに出てくると思います。その上で満足度が要。そこはプロレスでも何でも全てに共通しているかもしれません」