「千鳥の大悟さんと飲んだとき……」
──先ほどの、M-1のことを考えてるけど考えてないフリをしていた、という言葉はズシリときました。
大:ほとんどの芸人がそうだと思いますよ。M-1って、夢破れている人のほうが圧倒的に多いじゃないですか。王者ということでいえば、過去、19組しかいない。この前、千鳥の大悟さんと飲んだときも「M-1のこと、ほとんど覚えてないもん」って話していて。「全部滑ってるから、いい思い出なんて1つもない」と。4回も決勝に行ってる人ですら、そうなわけですから。
── M-1は魅力的だから全身全霊を傾けたいけど、それをやってしまうと身を滅ぼしかねないという怖さがありますよね。
拓:特に今の若い子たちはM-1にどっぷりはまってから芸人になっているので、命をかけている子たちばかりなんです。僕らも同じような思いはあるんですよ。でも、それを彼らみたいに表に出さないというだけで。
──なぜこれまでなかなか準決勝の壁を破ることが出来なかったのでしょうか。
大:みんなおもしろいし、選ばれなくてもしょうがないと思っていましたけど、内心は、僕らのほうがおもしろいのに、と思っていましたよ。
拓:M-1という大会の性格に合う合わないはありますよね。M-1はどちらかというと、満塁ホームランを打てるようなコンビというか、強い表情や動き、インパクトのある大喜利的な笑いのほうが強いと思うんです。でも、僕らはホームランよりもヒットや二塁打を重ねて得点していくタイプなんですよ。なので、盛り上がりという意味では、もう一歩という印象を持たれていたんじゃないですかね。
そこは僕らの課題で、一発にかけるようなネタを作ったこともあったんですよ。でも、そうすると俺たちのよさがなくなっちゃうな、って。僕らのよさはやっぱりやりとりであり、間であり、テンポなんで。それでコンスタントに笑いを取っていく。そこには自信を持っていたので、いつかどこかで評価されるだろうという思いはありました。
■取材・文/中村計(ノンフィクションライター) ■撮影/山口京和
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