12月22日に決勝が放送されるM-1グランプリ。一卵性の双子コンビ・ダイタクの吉本大(だい)と吉本拓(たく)がラストイヤーにして初出場を果たす。M-1史上初の双子コンビだが、2人は「双子ネタ」とどう向き合うか、デビュー以来向き合ってきた。唯一無二の葛藤を語った。(前後編の後編。前編から読む)
──2~3年前、お笑いに詳しい人が「ダイタクは双子ネタから脱さないと決勝進出は難しいのでは」と話していたんです。そういう言われ方をしたこともあるのですか?
拓:NSCに入って初めて人前でネタをやったとき、みんな笑ってくれるだろうなと思っていたんです。すごく作り込んだネタだったので。そうしたら、ぜんぜんウケなかったんです。そのとき、見てくれていた放送作家の方に「なんで双子を生かしたネタをやらないの?」って言われて。そういうものか、と。
僕ら、双子であることが当たり前過ぎて、もはやほとんど意識したことがなかったんですよ。今、ハゲネタとかデブネタをやっている人たちも、最初からやっていたわけじゃないと思いますよ。途中、人から指摘されて、意識するようになっていったんじゃないかな。それで、次のネタ見せのとき、双子を使ったネタをやったらドーンとウケた。そこからNSC内でもダイタクという双子のおもしろいコンビがいるらしいよって名前が広まったんです。双子をからめるとこんなにウケるんだと思って、僕らの場合は、気づいたら16年経っていたという感じです。
──双子であることは、ある意味、縛りのようなものなのかとも思っていたのですが、当人たちからすると、そう窮屈なことではないわけですね。
大:いや、若いときは窮屈でしたよ。いろんな人に「おまえら双子じゃなければいいのにな」って言われましたから。双子じゃないほうがおまえらのしゃべりとかテンポが際立つのに、どうしても双子というキャラクターが乗っかってくるから双子ネタをやらなきゃいけないし、その枠から大きくはみ出すことも難しい。
拓:漫才に入る前に、必ず自己紹介をしないといけないですしね。自分たちの関係性と、それぞれの名前を。「一卵性の双子で、兄の大、弟の拓です。よろしくお願いしまーす」って。それをやらないと、お客さんも「双子なんだよね……?」ってなっちゃうし、僕らも気持ち悪いんで。M-1で手をあげて自分の名前いう人、あんまり見たことないですよね。僕も恥ずかしいんですよ。40歳にもなって、「僕が弟の拓です」っていうの。本当はすっとネタに入りたいんです。