2024年のドラフト会議後の話題を独占したのは支配下どころか育成でも指名のなかった慶應義塾大体育会野球部の清原正吾(22)だった。
プロ野球で活躍した父・和博氏の薬物騒動が起き、両親は離婚。正吾は慶應普通部(中学校)進学と同時に野球もやめた。のちに当時を「一度は父親のことが嫌いになりました」と振り返っている。
正吾は慶大進学時に6年ぶりに野球を再開した。薬物を断ち、糖尿病とも闘う父を励まそうという思いからだった。
4年生となった今年、慶大の4番に座って才能を開花させ、秋のリーグ戦では3本塁打を放つなど、父譲りのパワーを披露。プロ志望届を提出し、吉報を待ったものの変化球への対応や拙い守備の不安もあり、指名漏れした。
独立球団からオファーが殺到し、その進路が注目されるなか、正吾は自身のインスタグラムで「新たなに目標を持ち、社会に出る準備をすることにしました」と野球から離れることを公表した。
今夏、正吾にインタビューを行なったノンフィクションライターの柳川悠二氏が語る。
「来年は大学に残って就職活動をし、2026年春に社会に出ることが基本線とされています。ただ、本人は帰国子女も多い慶應の仲間に触発されて、『海外留学も選択肢のひとつ』と話していました」