国内

《踏切自殺強要事件だけじゃない》無報酬奴隷状態の職場は「存在する」と話す中年男性の告白 会社に生きるすべてを握られ「逃げることは死ぬことと同じ」だった

東武東上線の踏切を現場検証する警視庁の捜査員。2023年12月27日。死亡事故発生から約一年後、自殺にみせかけて殺害した容疑で4人が逮捕された(時事通信フォト)

東武東上線の踏切を現場検証する警視庁の捜査員。2023年12月27日。死亡事故発生から約一年後、自殺にみせかけて殺害した容疑で4人が逮捕された(時事通信フォト)

 いじめられる側に問題がある、という言説にこそ問題があることを、普通ならば多くの人が理解することだろう。ところが、その被害者が成人男性となると、被害者にも何らかの原因があるのではと言い出す人が少なからず出現する。だが、衣食住や人間関係を縛られたら、大人の男性であっても正常な判断も行動も不可能になる。そして、生殺与奪の権を握った人間は、その力に酔ったようになり、驚くほど残酷になる。ライターの宮添優氏が、見過ごされがちな成人男性の虐待被害についてレポートする。

 * * *
 東京・板橋区の踏切で2023年12月に発生した人身事故。事故で亡くなった50代の男性は当初、自殺とみられていた。しかしその後の捜査によって、勤務先の社長や従業員たちから、踏切の中へ入るよう被害者が強要されていたことが発覚。さらに、男性がプロレス技をかけられたり、熱湯を浴びせられたり、肛門に棒を突っ込まれるなど、日常的に虐待を受けていたことも明らかになり、殺人、監禁などの容疑で社長ら4人の男が逮捕された。

 事件発生から丸一年後に逮捕へ至った理由について、大手紙社会部記者が解説する。

「発生直後から、警察は事件性を疑い捜査をしていました。すでに今年夏前にはすでに新聞、テレビなどのほぼすべての報道各社が事件を把握しており、取材をスタートさせていました。ただ、やはり証拠が少ないのか、警察からはマスコミ各社に”捜査の妨げになるから事前の周辺取材はNG”ときつくお達しが出ていた。特に、被害者周辺の情報が少なく、遠方に身寄りがあるけど縁が薄く、そういうことが重なって逮捕まで時間がかかったのです」(大手紙社会部記者)

 亡くなった被害者は、北海道・函館出身で、高校中退後に地元で働き始め、20代で上京。いくつかの仕事を経て、件の職場には2015年頃に入社した。一度はこの会社を退職したが、数年前に復帰していたとみられる。虐待がいつ頃から始まったかは不明だが、逮捕された男らの押収されたスマートフォンからは、被害者が邪魔だという趣旨のやりとりや、先に触れた虐待の様子をおさめた動画も出てきたという。

 つい先日は、2024年2月に全身あざだらけで住みこみだった元従業員が死亡した三重県四日市市の事件で、雇い主だった飲食店経営者と従業員が傷害致死容疑で逮捕された。体には古い傷跡が他にも残っていて、普段から暴行を受け続けていたのではと疑われている。

自分が悪い、といわれればそれまでですが

 似たような事件が相次ぐ中「同じような境遇の人は何千人といるはず」と話し涙ぐむのは、茨城県在住の介護職の男性(50代)だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

女性との間に重大トラブルを起こしていたことが判明した中居正広
《女性に解決金9000万円》中居正広を支えていた薬指に指輪の“10年愛”パートナー…トラブル前後で打ち明けた「お酒を飲まないと女の子と話せない」状態
NEWSポストセブン
元モノマネ芸人でクリエイターのおかもとまりさん
【元夫とは「パートナーシップ」継続中】おかもとまりが「業界関係の年下新恋人」について激白「息子も『早く付き合えば?』と応援してくれました」
NEWSポストセブン
能登半島の震災で妻と3人の子どもを失った石川県警の警察官・大間圭介さん
《能登地震から1年「1人で迎える元日」》震災で妻子を失った警察官「珠洲には辛くて帰れなかった、でも…」苦しみ、そして前を向き始めたきっかけ
NEWSポストセブン
大谷翔平(左)の目標とする二刀流はいつ復活するのか(右は真美子夫人)
真美子夫人も心配する「大谷翔平の左肩」の容態 整形外科医が回復への見通しを解説「本格的な投球再開まで2~3か月かかるのでは」
週刊ポスト
女性との間に重大トラブルを起こしていたことが判明した中居正広
《9000万円重大トラブル・中居正広》フジ幹部A氏との蜜月「オレが信長ならAは秀吉」 酒の場で「2人が興じたゲーム」
NEWSポストセブン
現在も俳優、タレントとして活躍
《シブがき隊の紅白出場曲『スシ食いねェ!』誕生秘話》布川敏和がホテルの一室で「中トロ、コハダ、アジ…」の注文メモ見て作詞も「印税は大したことない」理由とは
NEWSポストセブン
女性との間に重大トラブルを起こしていたことが判明した中居正広、芸能界の親友である松本人志(右・時事通信フォト)
《女性とトラブルで解決金9000万円》中居正広が「芸能界の親友」松本人志に助言していた「『性の抑制』が自分でできたら……」
NEWSポストセブン
二階俊博・元幹事長の三男・伸康氏が不倫していることがわかった(時事通信フォト)
《不倫だけど真剣交際》二階俊博・元自民党幹事長の三男・伸康氏が白いノースリーブ美女と広島旅行「申し訳ない」お相手・A子さんに引け目か
NEWSポストセブン
『極悪女王』の撮影秘話なども語った
【『極悪女王』で絶賛の嵐】剛力彩芽(32)が明かす「高すぎるドロップキック」の秘密 「3キロの壁がある」「体重計にはのらない」驚きの肉体改造
週刊ポスト
折田楓氏(本人のinstagramより)
《地元雑貨店が悲鳴》兵庫県知事選のPR会社・折田楓社長、沈黙貫くなかプロデュースグッズに思わぬ影響「クレームの電話もよくあって…」
NEWSポストセブン
中村芝翫と三田寛子
《恋情ドライブデート》中村芝翫「愛人との関係が切れない…」三田寛子が待つ自宅との“二重生活”、愛車は別れを惜しむようにベイサイドを周回
NEWSポストセブン
セクシー女優への転身を発表した瀬戸環奈さん
【セクシー女優転身】1000年に一人の逸材・瀬戸環奈に60分独占インタビュー「水着と裸は布1枚あるかないかの違いでしかない」
NEWSポストセブン