2008年暮れ、仕事と住まいを奪われた派遣労働者を救済するため日比谷公園にできた「年越し派遣村」(AFP=時事)

2008年暮れ、仕事と住まいを奪われた派遣労働者を救済するため日比谷公園にできた「年越し派遣村」(AFP=時事)

 わかる。筆者も30年以上前、最初に勤めたスポーツ新聞社ではアルバイト社員だったので「学生さん」と呼ばれた。古い話だが、新聞や出版の古い人の一部は若いアルバイトを「学生さん」と呼んだ。学生であってもなくても「学生さん」。かつて新聞社や出版社を目指す学生限定で在学中に見習い(いまで言うインターンか)をさせていた名残でとくに気にしてはいなかったが、やはり当時の中堅記者から下の世代に苗字で呼んでもらえると嬉しかった。荒っぽい体育会の現場、呼び捨てはもっと嬉しかった。

 いまやタバコの煙でもうもうとしていた社内は禁煙となり、制服姿のお茶くみ女性も社内から消えた。令和の教え子に話すと驚かれる、是非はともかく時代はアップデートされてゆく。

「いまバイトでもハケンでもよほど扱いの悪い会社や店でもなければそういう呼び方ってしないですよね、でもスキマバイトでまた復活してる感じです」

コロナでもインフルでも出ろって、やばい

 1990年代半ばから2000年代にかけてのいわゆる「ハケン」労働問題はこの国の「負」の歴史でもあったと思う。自由化の名のもとに失われた30年の象徴でもあった。

 とくに労働者派遣法の1999年改正(派遣業務の拡大)、2004年改正(派遣期間の延長と「物の製造の業務」の解禁)は一部派遣会社経営者の「人間を売買してたくさん儲けて逃げる」を可能にしてしまった。2007年に発覚した偽装派遣、二重派遣、労災隠蔽、勝手な給与規定変更、備品購入の強要の「グッドウィル事件」などまさにそれだが、同社に限らず多くの幹部が人間を売買して稼ぎ、逃げて悠々自適の生活をしている。

 大量の「ワープア」「ネカフェ難民」が社会問題となってようやく2012年改正で規制強化となるわけだが、この期間に膨大な数の労働者が犠牲となった事実は確かに、この国の歴史にある。

 スキマバイトはその時代に比べれば牧歌的なものだと思っていたが、問題も多そうだ。さらに話を聞く。

「スキマバイトなのに当日欠勤にペナルティがつくことですね。ずっと問題になってますけどいまだに問題無用でペナルティです。インフルでも出ろって、やばいですよね」(前出のスキマバイトをしている会社員)

 少し補足しなければならないが、インフルエンザの場合、多くのスキマバイトではいったんペナルティがついたあとにカスタマーセンターに相談、ということになっている。そこでペナルティが取り消されるか否かは各社それぞれ、ケースバイケースだ。

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