かつてないほどに女性皇族の結婚が一筋縄ではいかなくなっている。皇族の人数がこれほどまで減少したなかでの愛子さまの“お相手選び”には、さまざまな思惑が絡み合う。父である天皇陛下が願うのは、ただ愛娘の幸せのみ──。
都心にあって、都会の喧騒が届かない静謐な皇居。天皇ご一家が暮らす御所の談話室にバタバタと撮影機材が運び込まれ、似つかわしくない騒々しさが広がったのは、年の瀬も迫った昨年12月29日の夜9時のことだった。世間では仕事納めも終えていたその日、ご一家の新年の写真撮影が行われた。
「当初は12月23日に撮影が予定されていましたが、愛子さまがインフルエンザに罹患されたため、急きょ延期となりました。とはいえ新年のお写真ですから、元日までにメディアに配布しなければならず、滑り込みのスケジュールで29日の夜に撮影が行われたそうです」(宮内庁関係者)
愛子さまは感染以来、勤務先である日本赤十字社(日赤)への出勤は新年まで見送られ、お住まいで安静に過ごされていたという。大学卒業後の昨年4月に日赤の常勤嘱託職員として働き始めた愛子さまは、青少年・ボランティア課に勤務されている。
「ボランティアの育成や普及、研修などを行うほか、ボランティアのための情報誌『RCV』の編集にも携わられています。例年、情報誌の発行は2~3月ですから、編集作業は大詰めを迎えているようです」(日赤関係者)
社会人として仕事に励まれる一方で、皇族としての務めにも余念はない。新年を迎えた1月1日、午前中にティアラとローブ・デコルテの正装で新年祝賀の儀に臨まれ、午後には仙洞御所に出向いて上皇ご夫妻へ挨拶をされた。翌2日には、ライトグリーンのドレス姿で新年一般参賀に参加された。皇居・宮殿のベランダで、ガラス越しに冬の陽光を受けながら、愛子さまはにこやかな笑みで手を振られていた。
「昨年は能登半島地震の影響で中止になったため、愛子さまにとっては2023年以来2度目の新年一般参賀でした。隣に立たれた秋篠宮さまと言葉を交わされるなど、緊張される様子はなく、穏やかな表情で集まった人々に笑顔を見せられていました」(皇室記者)
コロナ禍を経て、事前抽選なしで行われた新年一般参賀には合計で6万人以上が集まった。ご活躍目覚ましい一方で、愛子さまを取り巻く議論が、遅々として進まない状況がある。
皇室としての活動が立ち行かなくなる
昨年12月26日、天皇陛下は石破茂首相ら閣僚を招いた昼食会を開催された。
「日夜、国務に精励されていることを誠にご苦労に思います。いろいろと大変なこともあるかと思いますが、くれぐれもお体に気をつけてお過ごしください」
そう労われた陛下のお言葉に、石破氏は身が引き締まる思いだったという。
「石破内閣の課題の1つに、長く結論が出ないままの皇室制度改革があります。2022年、安定的な皇位継承のあり方をめぐって、政府の有識者会議の報告書が衆参両院の議長に提出されました。女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する案などが提起されましたが、いまだに結論は出ていません。
石破氏は以前から皇室の諸課題解決に向けた積極的な発言をしてきましたが、昨年10月の首相就任以降、政権運営に時間を取られている印象です」(全国紙政治部記者)
皇室の先細りは、かねて大きな問題だった。今後、愛子さまがさらに公務の数を増やされ、今春成年式を控える悠仁さまが、その後本格的に公務を行われるようになっても、“担い手不足”は否めない。
「現在、数多くの公務を担われている佳子さまは、昨年12月に30才の誕生日を迎えられました。姉である眞子さんが、小室圭さんと結婚して皇籍を離脱した年齢に並ばれたのです。愛子さまも、昨年の誕生日で23才になられました。現行制度のもと、お2人が結婚され皇室を離れられれば、皇室としての活動が立ち行かなくなることになります」(別の皇室記者)
そこで必要になったのが、皇族数を確保するための議論だった。前出の有識者会議の報告書には、次の2つの案が盛り込まれた。
●女性皇族が結婚後も皇室に残る
●旧宮家の男系男子が養子として皇族に復帰する
「男系男子」とは、父方から天皇の血を引く男子のことだ。愛子さまは「男系女子」であり、仮に愛子さまが男子を出産されれば「女系男子」ということになる。だが、どちらの案も実現に向けたハードルは高い。
「女性皇族が結婚後も皇室に残った場合、夫や子供の身分はどうなるのか、生活費などの扱いはどうするのかといった課題をクリアにしなければなりません」(前出・別の皇室記者)
一方、旧皇族の男系男子を養子に迎える案も、長らく一般国民として暮らしてきた当事者に対し、「これからは皇族として生きてください」といきなり生活様式を変えさせるのは、容易なことではない。
「はるか以前から、そうした問題が表面化することは目に見えていた。にもかかわらず議論を尽くさず、結論も出さなかったのは、政治の怠慢でしかありません。政治側の事情によって、愛子さまや佳子さまが結婚に二の足を踏まれたり、ましてお相手選びに影響するのはあってはならないことですが、現実には影響が出てしまっています」(前出・別の皇室記者)