2024年末、自宅に帰った男性(66)は、自らの目を疑った。茶の間のこたつに頭からつっこんだ生き物の黒い大きなお尻があったからだ。クマが勝手に入り込んでいた。「多分寝ていたんでしょう…」──この“クマ住居侵入事件”は全国ニュースで扱われた。果たして、壮絶だったという現場はどのようなものだったのか。当事者らに取材した。【前後編の前編】
地元記者が解説する。
「昨年12月23日の夜、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが現れました。住民男性はすぐに、隣の家に避難しました。玄関は施錠されていましたが、裏口の一部が壊されており、ここから侵入したようです。
翌日、猟友会などがクマを追い払うための花火を使いましたが、クマは隣家の物置に逃げ込んだ。そこで、遠方から呼ばれた獣医師が麻酔を塗った吹き矢で、クマを眠らせることに成功し、無事に捕獲されました。体長は1.1メートルで体重40キロほどのツキノワグマでした」
けが人などは出ず大事には至らなかったものの、自宅にクマがいたという恐怖体験をした男性に話を聞くと、当時の生々しい状況が分かった。