抗争終結宣言を出すべき理由
鈴木:10年目を迎えた山口組の分裂抗争は、今年もずるずると収束せず進むでしょうか?
溝口:前々から言っているんだけど、六代目山口組は一方的に抗争終結宣言を出すべきです。田岡一雄三代目時代の山口組は、1970年代の大阪戦争の時、当時若頭だった山本健一が中心となって抗争終結宣言を出し、メディアを呼んで記者会見をしています。
鈴木:なるほど。常に答えは歴史の中にあるわけですね。山口組の分裂抗争の前に勃発し、足かけ8年間続いた九州・道仁会の分裂抗争でも、割って出た側の九州誠道会(現・浪川会)が一方的に抗争終結宣言を出しましたが、道仁会はそれを無視して抗争を続行した。でも、主導権を握る六代目山口組なら抗争を実質的に終結できる。
溝口:警察は“偽装終結宣言”だと決めつけ、ナンバー2の高山清司若頭や、実質ナンバー3の竹内照明・三代目弘道会会長のところに「どうなってるんだ」と聞きに来るでしょう。
「これ以上世間を騒がせるわけにもいかないし、こうするしかないでしょう」と彼らは説明するはずです。そうして警察側は井上(邦雄・神戸山口組組長)に会って「抗争終結宣言を出すみたいですよ。どうでしょう」と訊く。井上は「勝手にやりゃあいいんだ」と言うしかない。
鈴木:そうなれば確実に次の局面に展開します。問題は山口組内部のタカ派でしょうか。
溝口:仮にも山口組に反旗を翻し、「逆盃(ぎゃくさかずき)」をした大罪人を許すのかという声が起き、障害になるかもしれない。だがもはや分裂抗争の間、配下たちは何度も逆盃を行ない、組織を超えて移籍しているわけで、組長との疑似親子関係を表わす「盃」はもはや実質を失っている。盃の神聖さなんて、ヤクザ当人たちがみじんも信じていません。
鈴木:山口組にとっての脅威は神戸山口組より警察です。警察は山口組を壊滅させるつもりなんでしょうか?