とはいえ、三鷹寮から吉祥寺駅までの距離は約3km。そのため基本的には自転車が必要となる。毎日3kmくらいの道をチャリで爆走することになり、そこから電車に乗り換える。これで結局通学に片道1時間ほどかかってしまう。1時間ならまあ普通じゃんと思う人もいるだろう。しかし、それは神奈川とか千葉とかの実家勢の話だ。都内在住の地方勢でこんなに通学時間がかかるやつを僕は未だかつて見たことない。
もちろん、駒場の近くは家賃が高いのは百も承知だが、その沿線で探せばお金に優しい物件のひとつやふたつ見つかるはずだ。なのに、大学からも駅からも遠い1時間の場所? これもはや上京しきれていないだろ。
そもそもこれじゃあ地方勢の特権を生かしきれていない。実家勢にはできない地方勢特有の楽しみ方、それは「友だちを家に呼ぶ」ということだ。
ひとり暮らしで大学から家も近い。だからこそ授業終わりに友だちと家で飲んだり、ゲームしたりができるのに、それができない。その楽しみを奪ってまで三鷹に住む理由を教えてくれ、東大さん。まあ僕は友だちがいなかったから関係ないのだが。
とまあいろいろ愚痴ってきたが、家賃と諸々かかる定期券代や駐輪場代を含めても1万5000円とかには収まるので、破格っちゃ破格だ。なので今回の遠さに関しては一旦目をつむろう。
【便器】
「ユニットバスなんて嫌だ! トイレとお風呂別々がいい!」
たまにこういう戯言を抜かす腑抜けがいるが、論外だ。ユニットバス? なんて贅沢なんだ。こちとらユニットシャワーだぞ。ユニットシャワーとは何か。それを考えるにはユニットバスを考えればわかりやすいだろう。
ユニットバスとはお風呂とトイレが一緒に入っている浴室のこと。じゃあユニットシャワーは? シャワーとトイレが一緒に入っている個室のことだ。
「おい、なに冗談言ってんだ? そんなことしたら便器がシャワーのたびにびちょびちょになってしまうだろう」
シャワーのたびにびちょびちょになる、その通りだ。
幼稚園児が考えたのかと思うくらいふざけた設計なのだが、東大三鷹寮のバスルームはこぢんまりとした浴室の中に、トイレとシャワーが一緒くたになっている。これのせいで一度シャワーを浴びてしまえば、その日のトイレはしばらくおあずけになる。
また、トイレットペーパーホルダーにはシールドが付いているのだが、それも完璧ではなく、シャワーを浴びるたびにトイレットペーパーはウエットティッシュに大変身する。
取り返しのつかない要素だらけなのだが、一番の問題は冬場の殺傷能力である。これで何人の東大生が命を落としてきたことか、想像もつかない。シャワーのたびに便器が濡れるということは、少なくとも便座にモコモコシートや、保温シートを貼れないということだ。
皆さんは冬の便座の殺傷能力を体感したことがあるだろうか。
冬になると便座は絶対零度まで温度が下がり、数多のお尻を氷漬けにする。それが起こらないようにするために、モコモコや保温シートがあるのだが、それらを使用することができないとなると、もう打つ手がない。もちろん、三鷹寮の便器が便座を温めるハイテクシステムなど持ち合わせているはずもない。万事休すだ。
しかし、どうやら噂によると三鷹寮にも便器が濡れない部屋があるらしい。
三鷹寮には全部で6棟A~F棟まであるのだが、そのうちのC~F棟の部屋はそうなのだとか。僕はB棟だったので完全に聞いた話になるのだが、どうやらC~F棟は洗面台が可動式らしく、適宜シャワーから便器を守ってくれるらしい。
洗面器が可動式というのは僕自身もうまく想像できず言葉で書き表せないので、皆さんの想像力にお任せしたい。てか、動かせるならA棟もB棟も動かせよ。