横綱ダブル昇進場所と期待された初場所だが、波乱続きの幕開けとなった。大関・琴櫻が2日目から3連敗し、綱取りは絶望的な状況となった。相撲担当記者が言う。
「年6場所制(1958年)になって以降、昇進直前場所で連敗を喫した横綱はいない。序盤(5日間)で3敗はおろか、3日目で黒星が先行したケースすらない。データ上は今場所での琴櫻の横綱昇進の確率は0%ということになる」
綱取りに挑むもうひとりの大関・豊昇龍は3日目に苦手(対戦成績4勝6敗)としていた若隆景を一方的な相撲で破り、4日目も隆の勝を退けて4連勝。綱取りへ好発進を切った。
2場所連続全休中だった横綱・照ノ富士は初日と4日目に黒星を喫し、初の大銀杏での土俵となった大関・大の里とともに序盤で早くも2敗となった。10月のロンドン公演を控え、「横綱不在」の状況は避けたい相撲協会だが、目算通りにはなかなか進まないようだ。
そんな初場所で気を吐くのが、もうひとりのサラブレッドである王鵬だ。祖父は大鵬、父は貴闘力。琴櫻と同じく“祖父が横綱、父が関脇”という環境で育った。最高位は前頭筆頭で、まだ三役経験はない。今場所も西前頭3枚目だが、初日から阿炎、若隆景、若元春、大栄翔と三役を連続で撃破。無傷の4連勝となった。
初場所前、王鵬に注目していたのが好角家として知られる漫画家のやくみつる氏だ。本誌1月4日発売号掲載の杉山邦博氏(相撲ジャーナリスト)との対談企画で王鵬に触れていた。