「通行人はいるけど買い物する人がいない」
神戸市は当時、復興に向け、市の中心街・三宮に次ぐ副都心として長田を再生させようと、大規模な再開発事業を実施した。在阪ジャーナリストの話。
「2000億円以上の事業費をかけ、19万9000平方メートルに計44棟のマンションや商業ビルを整備するなどの再開発計画を立てたが、市が指定した再開発エリアはあまりに広かった。地権者との交渉が長引き、民間への売却はなかなか進まず、その間に地価は値下がりしていった。
市は2024年11月、震災から30年を迎える直前に事業完了としたが、商業用スペースは半分以上が売れ残っている。結果、事業全体で300億円以上の赤字となっています」
伊東さんは「通行人はいるけど、お店に買い物に来る人はほとんどいないでしょう」と嘆息する。
「マンションをたくさん建てたと市はアピールしているけど、まず人が住むには街に人の活気がなければダメでしょう。結果どんどん人が外に流れて、街は高齢者ばっかりになっている。
市の事業担当者も、3~4年でコロコロ担当者が変わるんですよ。引き継ぎもちゃんとしてないから、こっちは全てイチから説明しないといけない。しかも僕らと話すときに、紙の資料を持ってこないんですよ。口頭でのやり取りになるから、一向に話が先に進まなかった」