「扇町公園と動物公園は隣接していますが、その間には道路があり敷地は一体化していません。また、動物公園には多くの親子連れが来園しますが、SLは道路に面した区画に展示されているので子供を遊ばせにくいという難点があります」(同)
市は1回の塗装に約300万~500万円の負担が発生すると試算し、その塗装費用を調達するためにクラウドファンディングも検討した。しかし、資金調達のメドが立たないという理由で断念した。
飯田市が引き取り手を募集したSLは、無償で譲渡するが移設費用などは引き取り手の負担で、引き取ってから約3年間は多くの人が鑑賞できるような状況を保つことが条件として課されている。また、飯田市外からの応募も受け付けている。飯田市の譲渡条件は決して厳しいものではなく、以前だったら各地から応募が殺到したことだろう。しかし、今は状況が違う。応募状況は思わしいとは言えず、このまま引き取り手が決まらなければ解体する予定だという。
昭和の鉄道業界のみならず貨物輸送などを通じて日本経済を牽引してきたSLという勇者たちは、昭和100年という節目にあたって静かに姿を消そうとしている。