1回目の右肘靭帯移植手術で投球内容が一変
2018年オフに1回目の右肘靭帯移植手術を受けた大谷は、2021年に投手として復活すると投球内容が一変した。
「ストレート中心でスプリットを武器に三振の山を築いていたのが、手術後は“魔球”と称されたスライダー系の球である『スイーパー』を中心にカットボール、シンカー、カーブ、スプリットなど多種多彩な変化球を武器にするようになりました。そのうえ変化球の球速が伸び、与四死球率が下がるなど、投手としてステップアップした姿を見せた」(メジャー担当記者)
2度目の右肘靭帯の修復手術を経て、規格外のユニコーンにどのような進化が期待されるのか。
1990年と1994年に渡米して軟骨除去手術とトミー・ジョン手術を受けた経験を持つ元阪神の中込伸氏はこう言う。
「私の場合、真っすぐ(直球)を投げようとすると、肘が伸びて手術部が痛みました。それで肘を少し抜き(前に出し)ながら投げるようになって偶然“真っスラ”が生まれた。カットボールほど曲がらず、打者は真っすぐだと思って振ってくるので芯を外して詰まってくれました。
また、僕は手術前までインステップしてスライダーを強引に投げていました。大谷君のスイーパーも同様の投げ方に見えます。右打者の背中から球が来るように見えて効果がありましたが、肘への負担も大きい。大谷君も負担を考えてインステップはしなくなるんじゃないか。そうなると、同じスライダーでもフォームが違って打者には違った球種に映るはず。さらに肘の負担が軽いカーブなどの球種をうまく組み込むのではないか」
以前とは違った変化の“新スイーパー”を軸として新たな組み立てが期待されるというのだ。