多くの芸能人が通う学校として全国的にその名が知られる堀越高校(東京都中野区)。トレンディドラマの女王として一世を風靡した名女優・浅野ゆう子と、ソウルフルな歌声で「クレージーケンバンド」を率いるミュージシャン・横山剣も同校に通い、しかも同級生だったという。約半世紀の空白を経て、2人がお互いの現在・過去・未来を語り合う。【前後編の後編】
修学旅行にも卒業式にもカメラ
横山:学業と仕事の両立は、やはり大変でしたか。
浅野:ええ。歌手や俳優だからといって、宿題を免除されるような優遇はありませんでしたし。
横山:浅野さんは、成績が学年トップだったと聞いたことがあります。
浅野:そうでしたっけ?
横山:担任の先生に、ホームルームで発破をかけられました。「芸能の仕事もしている赤澤裕子(本名)さんが、あんなに好成績を上げてるんだから、時間がたっぷりあるお前らはもっと頑張らなきゃダメだ!」って。
浅野:でも、いざ高校を卒業するに際しては、いろいろと融通を利かせてくださいました。
横山:例えば?
浅野:必要な出席日数が足りないとなった場合は、まとめて補習を受けることができたんです。
横山:はいはい、覚えています。ホームルームの後、遅くまで残って補習を受けるんですよね。
浅野:あの頃、芸能の仕事をしている生徒に対して理解のある学校といえば、堀越と日出女子学園(現・目黒日大)ぐらいしかなかったような。
横山:そうでしたよね。
浅野:卒業できて心から感謝しています。ちなみに剣さんは、修学旅行ではどこに行きましたか。
横山:作曲家になる夢が叶わぬことを悟り、高2の夏に中退しちゃったんで、修学旅行には間に合ってないんですよ。
浅野:あら、そうだったんですか。堀越の修学旅行って、当時としては珍しく、国内外の3か所から好きな行き先を選べたんですよね。
横山:そう。ハワイ、韓国、北海道でした。浅野さんはどこへ?
浅野:北海道です。仕事の都合で途中から参加したんですが、しっかり「明星」の取材班が同行しました(笑)。
横山:何といっても、堀越の学園生活で鮮烈に記憶に残るのが、文化祭。中野サンプラザホールで、本物の歌手のステージが披露されるんですが、出演者は全員、卒業生か在校生。ああ、いい学校に来たもんだな、と痛感しましたよ(笑)。
浅野:私も出てました。