引退の決め手はひざ痛とぎっくり腰
筆者は昨季開幕直前にも、本誌で和田に密着した。調整の遅れがあると明かしながらも、開幕に照準を合わせる自信をのぞかせていた。
「オフにふくらはぎを痛めて自主トレ中に走り込みができなかった。その調整遅れが響き、本拠地開幕戦の先発に指名してもらったにもかかわらず、その役目を果たせませんでした。ちょうどポストさんの取材を受けたころは、指のまめに苦しめられていて……」
5月にシーズン初登板を果たし、2勝をマークしたが、本調子には程遠かった。7月に二軍調整となり、そのタイミングでひざ痛が発症。さらには人生初のぎっくり腰にも見舞われた。
「本当に体が悲鳴を上げていたんでしょう。心技体のうち、技術面ではまだ通用する自信があったし、続ける気力もあった。でも体が限界。ただ、物理的に無理なところまで頑張れたので、そういう意味ではやり切った気持ちが強いです」
第二の人生に注目が集まるが、和田は「やりたいことはいっぱいある」と目を輝かせる。
「とにかく今は知見を広めたいですね。YouTubeチャンネルも開設してみたいし、多くの人と知り合う機会を増やしたい。僕は野球の世界しか知りませんから、学びの場を増やしたいです」
球界からは「将来的に指導者の道に」という声が上がるだろう。だが、本人は「現在の僕にはまだ無理」と言い切る。
「コーチング学もそうだし、人に何かを伝えるということを根本から学ばないと。興味はありますけど、そのためにも僕自身が成長しないといけない。指導者はそうなってからの話ですね」