自主トレに睡眠セミナー
松坂世代の中で、和田は常に同世代と比較され、他選手の輝きに埋もれることもあった。しかし、考える力と練習に打ち込むことを武器に、世代最後の現役として生き残った。その姿勢は引退してからも変わらない。
「もちろん仕事一辺倒の生活にしたくはありません。妻と温泉や海外旅行にも行きたいし、おいしいものを食べに行ったりしたい。とにかくやりたいことが山ほどあります」
今回の自主トレでは、睡眠の専門家を招いてセミナーが開催された。自主トレメニューに座学を取り入れるのは、いかにも和田らしいチョイスだ。
「強制するわけではありませんが、この長崎での自主トレが来年以降も続いてくれたらな、と思います。だから今回は、これまで僕が手配していた練習場やホテル、食事の手配などの引き継ぎというか、『もし彼らが続けるようならよろしくお願いします』という顔つなぎの意味もあったんです。
年齢的に中心になるのは大竹と小島の2人かな。彼らが中心になってくれたら嬉しいですね」
考えるサウスポー。練習の天才。和田イズムは受け継がれていく。
【プロフィール】
和田毅(わだ・つよし)/1981年2月21日生まれ、山形県出身。早大時代に江川卓氏の持つ奪三振記録(443)を更新する476奪三振をマーク。2002年ドラフトで福岡ダイエーホークス入団し、2024年11月に現役引退を表明。プロ生涯成績は、日米通算165勝94敗。
取材・文/田中周治 撮影/藤岡雅樹
※週刊ポスト2025年1月31日号