球界からの参加希望者多数で、泣く泣く「お断り」も
評判が評判を呼び、今年は40人近い参加希望が鴻江のもとに寄せられたが、合宿の規模の関係から、泣く泣く断らざるを得なかったという。それほどまでに、トップアスリートが鴻江の教えを仰ごうとしているのだ。
今井は次のように語る。
「鴻江先生の指導を受けるようになってから、ストレートの質が良くなったと感じています。球速が上がったので、その分スライダーもバッターに対して効果的に投げられるようになりました。
評判の下り坂ランニングも、年を追うごとに疲労感を感じなくなっています。体を正しく使い、ムダを省けているのかなと。その感覚は、長いシーズンを投げる上でも大事になってくると思います」
今年が3回目の参加となった隅田が続ける。
「去年、プレミア12が終わったタイミングで自分の身体を測定しに行って、そこで出た数字で見える課題をつぶしてきました。この合宿には、目に見えない感覚的な部分をプラスアルファするために来ています。
球場によって、マウンドの硬さって結構違うんですよ。にも関わらず、同じような体の動かし方のイメージで投げようとしたら、ケガにつながるし、当然パフォーマンスにはばらつきが出ます。鴻江先生とは、どんな状況でも一定の高いパフォーマンスを出すために、状況に応じてどう体を使っていくか、という話をしています」
隅田は、競技の壁を越えて上野から金言を得ていた。
「最初は、『他競技のトップ選手』という認識でした。野球は上から投げますが、ソフトボールは下から投げますから。でも、反対のことをやっているようで、実は動くイメージは一緒です。それを教えてもらいました。
上野さんからは、“100のパフォーマンスを出すために、60は自分の力で、40は地面から力をもらう”という話がありました。そうすれば長いイニングを投げられるし、“勤続疲労”もなくなって効率よくシーズンを戦うことができます。それをするために、どう体を使うか、動かすかという話を上野さんとしました。ただ、どこか1か所直せばいいわけではないですし、全部が全部つながっているので、すごく話が長くなるんで詳しくはやめておきます(笑い)」
合宿中、競技の枠を超えてアドバイスし合う様子もそこかしこで見られた。その相乗効果がこの合宿のもつ大きな意味の1つなのかもしれない。