2月1日のキャンプインを目前に、プロ野球選手たちの自主トレにも熱がこもっている。アスリート・コンサルタントの鴻江寿治氏が主宰する合宿には、野球に限らず、ソフトボール、ゴルフ、陸上競技などのトップ選手が参加した。球団の枠のみならず、競技の境目も超えてアスリートが集う背景には、鴻江が独自に導き出した「体の動かし方の極意」にあった。(文中敬称略)
鴻江が運営する「鴻江スポーツアカデミー」主宰の合宿は、毎年1月に福岡県内で行われる。
今年は昨シーズンのパ・リーグ奪三振王の今井達也(26才)、昨年のプレミア12で中継ぎとして大車輪の活躍を見せた隅田知一郎(25才、ともに埼玉西武ライオンズ)をはじめ、種市篤暉(26才、千葉ロッテマリーンズ)、田嶋大樹(28才、オリックス・バファローズ)ら、各球団の主戦級投手がズラリ。
野手では柿沼友哉(31才、千葉ロッテマリーンズ)が参加し、さらに、ソフトボール界のレジェンド・上野由岐子(42才、ビックカメラ高崎)、女子ゴルフ黄金世代の1人で昨年4月のパナソニック・オープンを制したプロゴルファー・天本ハルカ(25才)、昨年2月の日本選手権クロスカントリーを制した陸上女子長距離の酒井美玖らの姿もあった。
合宿の目玉は、毎日午前中に行う「茶畑ランニング」だ。「八女茶」の産地として知られる八女市内にある茶畑の、約1kmのゆるい下り坂をトップスピードで駆け降りる。鴻江がその狙いを明かす。
「下り坂では、自然と限界以上のスピードが出ます。すると筋肉の可動域が拡大し、ポテンシャルを呼び覚ますことができるのです。可動域が広がれば、体のバランスも鍛えられる。個々で取り組まずにみんなで一斉に行うのは、トレーニング強度が上がると同時に、苦しさを乗り越えられる効果があると思っているからです」
かつては、千賀滉大(31才、ニューヨーク・メッツ)や今永昇太(31才、シカゴ・カブス)、菅野智之(35才、読売ジャイアンツ→ボルチモア・オリオールズ)らもこの合宿に参加し、球界を代表する選手へと成長して海を渡ることになった。それが、アスリートの“虎の穴”と呼ばれる由縁だ。