端正なルックスで人気を集める俳優の川野太郎さん(64)。ドラマでは刑事役を務めることが多く、そのほかワイドショー番組の司会からリポーターと幅広く活躍するバイプレイヤーは、お世話になった先輩として“昭和の名俳優”渡哲也さん(享年78)の名前を挙げる。一夜にして人生が変わった朝ドラ出演秘話や、渡さんの言葉で決断した結婚、そして現在について語った──。
「1つの人生だけではなく、いろいろな人生を味わってみたかった」という川野さんは、早稲田大学卒業後の1985年に最高視聴率55.3%を記録したNHK連続テレビ小説『澪つくし』で俳優デビュー。ヒロイン・沢口靖子の相手役を演じた。
「朝ドラ『澪つくし』の放送が始まって、一夜にして生活が激変しました。電車の中や道端で指を差されたり、声をかけられるようになり、大きめのサングラスをかけて電車に乗るようになりました。
ところが、坊主頭な役でしたのですぐにバレてしまい、当時の週刊誌にも狙われ、『なんだか窮屈な生活になったなあ』と思っていましたね。今、振り返ってもジェームス三木さんの脚本は本当に面白くて、いまだにあんなに軽快で深い脚本は、なかなかないと思います。脚本や役との出会いは、役者の人生を大きく左右するということを学ばせていただきました」