罪を軽く見せるための悪あがきやウソ臭い言い訳は逆効果
まだまだ火の勢いが衰えない中で、さらに大量の油を注いでしまったのが、1月17日に行なわれたフジテレビの港浩一社長らの記者会見。テレビカメラの撮影を禁じたりテレビ局の記者は質問が許されなかったりなど、報道機関とは思えない閉鎖的なやり方で行なわれました。さらに「被害女性のプライバシー保護」などを理由に「回答を差し控える」という逃げのコメントを連発します。
それでもやり取りの中で、フジテレビ側が2023年6月から被害状況を把握し、中居側からも報告を受けていたことが判明。スポンサー側にはいっさい知らせず、何食わぬ顔で中居のレギュラー番組を放送していたこともバレてしまいました。この会見に疑問を抱いたスポンサーが、我も我もと自社のCMをACジャパンのものに差し替えます。
港社長の会見が「油」になったのは、なるべく自分たちの責任を軽く見せたいという悪あがきと、いちおう記者会見は開くけど都合の悪い話はしたくないという姑息な魂胆が見え見えだったから。言ってみれば部下にパワハラを告発されて、会社から事情を聴取されている場面で、話が核心に触れると「部下の名誉に関わることなので」と説明を拒否したり、自分に質問できる相手を勝手に選別したりしているようなものです。
22日に行なわれた関西テレビの大多亮社長(トラブルが起きた当時はフジテレビ専務)の会見も、違和感だらけでした。レギュラー番組の放送を継続したことについて、あくまでも女性を守るための配慮で「中居氏のほうを守ろうとか、そういう意識はなかったです」と語ります。これも真相はともかく、後付けの自己弁護にしか聞こえません。
パワハラを告発された場面に当てはめると、「部下の成長のために怒鳴った」と言い訳したり、部下が心を病んで休職したとしても「部下のプライバシーを守るために原因を調べることはしなかった」と言っているようなものです。大多社長はフジテレビの立場を逃げ隠れせずにきっちり説明して、「俺はちゃんと報告したんだ」と言いたかったのかもしれませんが、火の勢いを維持する効果しかありませんでした。
火に油を注がないためには、どうやら「自分に都合のいい解釈や展望を自分で口にしない」「罪を小さく見せようとしない」「ウソ臭く聞こえる言い訳をしない」といったことが大切。逆に、何かしでかしたときは「迅速に、素直に、真摯に謝る」「謙虚な態度を保つ」ということを心がければ、結果的に早めに鎮火するでしょう。なかなか勇気がいることだし、そもそもこれらの心得を実践するチャンスがないほうがいいんですけど。