ビジネス

《日枝代表に説明求める声も》CM“撤退ドミノ”で問われるフジテレビの体質 港社長「次はカメラを入れる」ってそこじゃない、露悪的なノリとネタ化が引き起こし続けた問題

映像撮影を不可とした記者会見だった。1月17日、フジテレビの港浩一社長(時事通信フォト)

映像撮影を不可とした「紙芝居」会見だった。1月17日、フジテレビの港浩一社長(時事通信フォト)

 中居正広が、巨額の解決金を支払った女性トラブルを起こし、それにフジテレビ社員が関与した疑いが明るみに出てから約1か月。事態は収束するどころか、フジテレビのコンプライアンスや企業体質をめぐる社会問題へと広がり、ついに中居は芸能界からの引退を発表した。人々の生活と社会の変化を記録する作家の日野百草氏が、コンテンツ制作側からみたメディアの王様だったテレビ局と、その関係の変化についてレポートする。

 * * *
「このままフジテレビの状況がさらに悪化すれば、CMだけでなくコンテンツの引き上げが深刻になるかもしれない。スポンサーの引き上げもそうだが、原作元の出版社や作家自身がイメージを気にしてフジテレビを避けかねない。放送事業という商売の根底が揺らぐ」

 映像事業を中心に手掛けてきた60代のベテランプロデューサーが語る。アニメーションが中心だが、かつては製作会社でフジテレビ系のアニメにも参加している。

「フジテレビに限らずキー局で放送が決まるというのは垂涎の的だった。当たり前だが基本的にはいまでもそうだ。原作がフジテレビで映像化、なんてどの出版社も断る話ではない。作者だってよほどの偏屈でなければ二つ返事だ。それほどに影響力は絶大だ。しかしその影響力は局のイメージが悪くなれば両刃の剣だ」

 筆者も出版社時代はそうした事業に関わった経験がある。ドラマ化やアニメ化は作品冥利に尽きる。彼の言う通り、原作本の売上だって映像化作品とそうでない作品では大違いだ。深夜アニメだろうが地方ローカル局アニメだろうが「アニメ化決定」という宣伝文句は大きい。大きいからこそ、局そのものがイメージを失墜すれば作品もとばっちりを受ける。

キー局に逆らうなんて、考えられなかった

 タレントの中居正広氏による女性トラブル報道は、フジテレビ社員の関与を疑われたことで個人のスキャンダルから社会問題にまで発展してしまった。トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、スズキ、三菱自動車、NTT東日本、KDDI、セブン&アイ、イオン、ローソン、アサヒ、サントリー、キリン、サッポロ、日本コカ・コーラ、ヤクルト、日本マクドナルド、日清食品、明治製菓、花王、資生堂、JT、東京電力、日本生命、第一生命、明治安田生命、アフラックなど、名だたる企業とそのグループ70社以上がCMの放送差し止めやスポンサー撤退を宣言した。

関連記事

トピックス

日枝久取締役相談役のの“真の人物像”とは(時事通信フォト)
《日枝久相談役に問われる進退》「フジテレビの“お父さん”。恩義を感じている社員は多い」局員が明かす“フジの天皇”の人物像
NEWSポストセブン
フジテレビの社長を辞任することを発表した港浩一氏
「上司に具申できない空気はある」「余計な手間をかけさせたくない」フジテレビの“風通しの悪さ”を助長する評価制度に潜む弊害とは
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《水原一平の裁判資料で発覚》大谷翔平が激怒した「ギャンブルコラ画像」の販売「名声と善意を傷つけられた」検察は被告を「強欲」と糾弾
NEWSポストセブン
阿部慎之助監督(右)の現役中背番号10を受け継いだ甲斐拓也
巨人へFA移籍の甲斐拓也は本当に“阿部監督の後継者”となるのか? 継承した「背番号10」には“そこまでありがたいわけではない”の声も
週刊ポスト
一連の騒動について責任を追及する声は止まず、質疑応答は10時間以上に及んだ
《フジテレビ10時間超え会見》「静かにしてください、マジで!」通販新聞・佐藤記者が現在の心境を吐露「むしろ反省しています…」と恐縮
NEWSポストセブン
協会トップの八角理事長はいまの大相撲に何を思うのか
八角理事長が初場所中に語っていた“横綱空位”への危機感 豊昇龍らに叱咤激励「本来は照ノ富士を倒して上がってきてほしかった」
週刊ポスト
改めてオープンな形で行われた“やり直し会見”
「知っていたらすぐ打ち切っていたのに…」フジ・バラエティ現場が港浩一社長の会見に“本音”を吐露《「女性を守ることを最優先に」へ社内から疑問の声》
NEWSポストセブン
送検される矢口容疑者(時事通信フォト)
《長野駅前・3人連続殺傷》「警察? 呼べるもんなら呼んでみろ!」“水も電気も止まっていた”矢口雄資容疑者(46・無職)が正月に見せていた“奇行”
NEWSポストセブン
AEDをめぐって、SNSを中心に喧々囂々の議論が巻き起こっている(写真/イメージマート)
《ABEMAに疑惑》「AED人命救助したら強制わいせつで被害届」現役医師が違和感を覚えた”毛布・名刺・倒れた女性”のナゾ 広報部の回答は
NEWSポストセブン
フジテレビの社長を辞任することを発表した港浩一氏(左/時事通信フォト)
《X子さん強制参加の誕生日会》フジ・港浩一社長が語った“編成幹部A氏関与”と「楽しませていただいてありがたかった」「思いが至らなかった」
NEWSポストセブン
港社長、中居正広氏の
《とんねるず石橋貴明、直撃にショック隠せず》盟友・中居正広は引退、“育ての親”港社長は辞任「フジテレビを滅ぼすなよ」と歌った過去
NEWSポストセブン
24時間利用可能で人気を博す『エニタイムフィットネス』(AFP=時事)(本人Xより)
《丸出しサンタコスで若い女性がトレーニング》24時間ジム内で過激な動画を撮影してSNSに投稿…『エニタイムフィットネス』は「強い憤りを覚えます」「然るべき対応を行っていきます」と回答
NEWSポストセブン