引退を発表したタレント・中居正広(52)の女性トラブルをきっかけにフジテレビが危機を迎えている。これは単なる“芸能界の問題”に留まらず、中居の引退で幕引きとなるわけではない。テレビ局は世論への影響力の大きさから「第4の権力」と呼ばれ、公共の電波を独占利用する資格があるのかを問われる存在でもあるからだ。その経営トップに、新たに重大な疑惑が浮上した。【前後編の前編】
「社長も知ってたの?」
「私の知らないことや『それは違うのに』と思うことが多くて、港(浩一)社長の会見には驚くことばかりでした……」
本誌・週刊ポストの直撃取材に、失望が滲む表情でそう明かしたのは、中居とのトラブルで被害者となった芸能関係者・X子さんだ。
問題をスクープした昨年12月の『女性セブン』の報道では、トラブルの発端となった2023年6月の食事会に、フジテレビ編成幹部のA氏が関与していたと報じられた。
1月9日には中居が自身の公式サイトに「トラブルは事実」と認める文書を掲載。だが、フジはA氏の関与を否定し続けた。その後も続報が相次ぎ、親会社フジ・メディア・ホールディングス(フジ・メディアHD)には大株主の米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」から「激怒」を表明する書簡が届いた。
騒動の拡大を受け、17日午後、フジテレビの港社長が一連のトラブルについて説明する記者会見を初めて開いた。
しかし、会見に参加できたのは記者クラブ加盟各社と一部のテレビ局のみ。週刊誌やネットメディア、フリー記者らを排除したうえ、テレビ局の記者会見にもかかわらず中継や録画を一切禁じるという体たらくだった。
放送法に基づいて国から電波利用の免許を得て様々な営利事業を展開し、報道する側の時は遠慮なくカメラを向ける一方、自身が取材される側に回った途端、閉鎖的な形式の会見で情報をコントロールしようとしたのだ。
その会見の冒頭説明で、港社長は「(トラブルを)2023年6月の発生直後に認識していた」「中居本人からも報告を受けていた」と発言。フジ社内からも怒りの声が上がった。
「トラブル発生後も港社長ら上層部は何も知らなかったという話だったはず。それが、蓋を開けたら社長は直後に把握し、中居氏からも報告を受けていた。こんなトラブルを起こしたタレントの番組を平気で放送していたのか、と」(フジテレビ局員)