ライフ

神津はづきさん、母・中村メイコさんを綴ったエッセイ集についてインタビュー「死んでも母親には仕事がある。母と娘ってこういうことなんだと思った」

『ママはいつもつけまつげ 母・中村メイコとドタバタ喜劇』小学館/1870円

『ママはいつもつけまつげ 母・中村メイコとドタバタ喜劇』小学館/1870円

【著者インタビュー】神津はづきさん/『ママはいつもつけまつげ 母・中村メイコとドタバタ喜劇』小学館/1870円

【本の内容】
 本書に名前が登場する有名人は、美空ひばりさんに郷ひろみさん、秋吉久美子さん、萩原健一さん、森公美子さん、森繁久彌さん、伊東四朗さん、黒柳徹子さん……。2023年の大晦日に89歳で亡くなった中村メイコさんはどんな母親だったのか。「家でも女優だった」メイコさんの実像と、メイコさんの交流をユーモアたっぷりに綴った爆笑追悼記。本書を一足先に読んだ作家・林真理子さんは《天才を母に持ったことの喜劇と悲劇を越えて、さらにブラックさえほの見えるこの本、とにかく面白い。母もすごいが娘たちも負けてはいない。はづきさんの観察力と文章力に驚嘆した。》と爆笑大絶賛。

書きながら、気がつくと何度も泣いていました

 いつもつけまつげを忘れないママとは、2023年に89歳で亡くなった中村メイコさんのこと。映画の子役として2歳でデビューし、終生現役を続けたメイコさんの次女で、俳優の神津はづきさんが、ママのダメさ加減や愛すべきエピソードを、パパ(作曲家の神津善行さん)や姉、祖父母らファミリーの思い出とともに綴ったエッセイ集が『ママはいつもつけまつげ 母・中村メイコとドタバタ喜劇』だ。

「母と仲が悪かったことは1回もないんですけど、恨みつらみは結構たまっていて。ずっと思ってきたことを、なんとか、面白い笑える記憶に書き換えようと、10年以上も少しずつ書きためてきたんです」

 その一部を『女性セブン』に連載していたこともある。

 メイコさんが亡くなり、改めてお母さまの思い出を書いてみてくださいと編集者から依頼を受けて、すべてを一から書き直した。

「書きながら、気がつくと何度も泣いていました。60年もずっとがまんしてたんだな、かわいそうにって。私、母の前で泣いたことがないんです。覚えているのは、『サインはV』の最終回を一緒に見て号泣したことぐらいで、転んでけがしても泣かなかった。

 だって、母はそういう係の人じゃないって思ってましたから。何か問題があって、『今日、実はこんなことがあって……』と言ったところで、『あらぁ、あたしも昨日こんなことがあったのよ』って自分の話になっちゃうから! 母には何か言っても解決しないと思ってた」

 母が亡くなって、母の存在を身近に感じるようになったという。

「このへん(肩のあたり)にいて、『あのときのことも書いてやる!』って言うと『あんた! 私が喋れないと思っていい気になってんでしょ!』って声が聞こえてくるんです。そんなとき、ああ、親子だったんだな、と思うんですよね」

「あんた! 私が喋れないと思って!」という言い方がメイコさんに似すぎていてびっくりする。本の中でも、幼いはづきさんが友だちのお母さんにこんなことを言われたと話すと、メイコさんが「似てない。ちょっと違うのよ」と同じせりふを真似してみせるエピソードが出てくる。「え? そこ?」と言いたくなるが、そうした繰り返しで、はづきさんは口数が少ない子どもになり、誰かが言ったことを話すときは、その人の物真似で喋るようになった。

 どこにいても誰よりも目立ち、幼稚園のバザーでゴミ拾いをするときも、わざわざほっかむりをして、「ごめんなさいね~! ゴミ拾わせてね~!」と焼き芋屋のオジサンみたいな芝居がかった声色で言う母。

 思い余って、「ママを普通のママにして!」と父に助けを求めるも、父の神津善行さんは、「はーちゃん(はづきさん)のママは変なんだよ」と4歳の娘に言い、「だから、諦めなさい」と諭すのだった。

「人は変えられない。母と私の関係はそこからスタートしてるんです。父は、ああいう母が良くて、結婚して、二人の間に生まれたのが私だから、そこは受け入れるしかないというか。文句言ったり、こういう母親が良かったと言っても何も生まれないので、自分の中で『面白いこと』にした方が楽しいな、と思うようになったんです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《広末涼子が釈放》「グシャグシャジープの持ち主」だった“自称マネージャー”の意向は? 「処罰は望んでいなんじゃないか」との指摘も 「骨折して重傷」の現在
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン
19年ぶりに春のセンバツを優勝した横浜高校
【スーパー中学生たちの「スカウト合戦」最前線】今春センバツを制した横浜と出場を逃した大阪桐蔭の差はどこにあったのか
週刊ポスト
「複数の刺し傷があった」被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと、手柄さんが見つかった自宅マンション
「ダンスをやっていて活発な人気者」「男の子にも好かれていたんじゃないかな」手柄玲奈さん(15)刺殺で同級生が涙の証言【さいたま市・女子高生刺殺】
NEWSポストセブン
NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」で初の朝ドラ出演を果たしたソニン(時事通信フォト)
《朝ドラ初出演のソニン(42)》「毎日涙と鼻血が…」裸エプロンCDジャケットと陵辱される女子高生役を経て再ブレイクを果たした“並々ならぬプロ意識”と“ハチキン根性”
NEWSポストセブン
山口組も大谷のプレーに関心を寄せているようだ(司組長の写真は時事通信)
〈山口組が大谷翔平を「日本人の誇り」と称賛〉機関紙で見せた司忍組長の「銀色着物姿」 83歳のお祝いに届いた大量の胡蝶蘭
NEWSポストセブン
20年ぶりの万博で”桜”のリンクコーデを披露された天皇皇后両陛下(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
皇后雅子さまが大阪・関西万博の開幕日にご登場 20年ぶりの万博で見せられた晴れやかな笑顔と”桜”のリンクコーデ
NEWSポストセブン
朝ドラ『あんぱん』に出演中の竹野内豊
【朝ドラ『あんぱん』でも好演】時代に合わせてアップデートする竹野内豊、癒しと信頼を感じさせ、好感度も信頼度もバツグン
女性セブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
《実兄が夜空の下で独白》騒動後に中居正広氏が送った“2言だけのメール文面”と、性暴力が認定された弟への“揺るぎない信頼”「趣味が合うんだよね、ヤンキーに憧れた世代だから」
NEWSポストセブン
高校時代の広末涼子。歌手デビューした年に紅白出場(1997年撮影)
《事故直前にヒロスエでーす》広末涼子さんに見られた“奇行”にフィフィが感じる「当時の“芸能界”という異常な環境」「世間から要請されたプレッシャー」
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下は秋篠宮ご夫妻とともに会場内を視察された(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
《藤原紀香が出迎え》皇后雅子さま、大阪・関西万博をご視察 “アクティブ”イメージのブルーグレーのパンツススーツ姿 
NEWSポストセブン
2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン