その話を受け、八角理事長はこう指摘した。
「真面目なんだよ。それに大胆さがない。考えないでも体が動くくらい稽古をやらないといけない。やはり、稽古が足りないということ」
自身の横綱昇進時は「10勝するまで(綱取りは)考えないでおこうと思っていた」のだといい、「そう考えていると結構勝ってしまうんだよね」と振り返るのだった。
初土俵から所要9場所で大関昇進を果たした大の里については、「まだ上がったばかりの“新弟子”ですからね」と評す。
「この世界に入って1年とか2年でしょう? 本人もワケが分からないまま大関に上がっていると思う。まだまだこの世界に馴染んでないよ。色んな習慣も含めてこの世界に馴染んでくると、相撲内容も変わってくる。
今は止まらないでずっと圧力をかけてやっているじゃない。“止まる相撲”を見てみたいなと思っている。そういう相撲でも勝っていかないと横綱は難しい。止まらないところも、いいところではあるけどね」
大の里の進化には師匠である二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)の指導も重要かと問うと、「これは本人の感性だからね」と答えた。
「強引にいって突き落とされることもある。それを恐れると出足がなくなる。難しいところ。相撲の怖さが分からないから勝っていたところもある。九州場所で9番しか勝てなかったのは、横綱に上がるための勉強の場所だったんじゃないか」