弁護人「その頭部の状態というのは?」
浩子「(言葉を詰まらせる)赤い状態でした……こちらを向いて、眼球があって……」
弁護人「赤い状態というのは、皮がないということですか?」
浩子被告「はい」
弁護人「それを見てどんな気持ちに」
浩子被告「地獄がここにある、と」
娘は、いつもと変わらない様子だった。
浩子被告「ごく普通に『見て』って。瑠奈の内心がわからず、合わせるよう何か言ったか、動揺しないように振る舞いました。『すごいね』とか言ったかもしれません」
遺体の頭部を見て、“地獄がここにある”と思ったという浩子被告。そのときから法廷にいる今まで、彼女は悪夢から抜け出せていないのかもしれない。