王貞治の本塁打阻止のため、藤本監督から受けた「指令」
当時は甲子園といえども巨人戦以外は満員にならなかったという。巨人戦の注目度の高さについてはこんな言い方をしていた。
「満員のスタンドの巨人戦ではみんながハッスルするので、巨人戦のあとは疲れますねん。今は全試合満員なのでそうじゃないが、巨人とは互角のゲームをしても、その次のカードはボロボロだった。監督が巨人戦にローテを合わせなくても、村山や江夏(豊)のように巨人を目の敵にして投げていた投手がいましたからね」
巨人に対する作戦を聞くと、「強いていえば、後楽園球場での巨人戦で藤本(定義)監督からこんな指令を受けたことがある。デビュー当時の王は“三振王”と野次られていたが、1本足にしてから本塁打を量産するようになった。それを阻止するために、ショートを守っているボクに“二塁ベースの上に立て。守らなくていいから、投手の真後ろで両手を振り回して王の目をくらませろ”と。実際にはやらなかったが、それでも王は打ったと思う。それぐらい強い巨人への策はなかった」とも話していた。