日本はこのまま“消滅”への一途を辿り続けるのだろうか──2024年の日本人の出生数が、70万人を下回る見込みだ。この値は2046年に達すると予測されていたものであり、想定を20年以上も上回るハイスピードで少子化が進行していることになる。民間の有識者グループ「人口戦略会議」 が公表したレポートによると、2050年までに20代から30代の女性が半減し、最終的には“消滅”する可能性があるとした自治体は全体の4割にあたる744にのぼるとされる。
全国の自治体が存亡をかけ、頭を悩ませている。しかしそんな中で“希望の星”として、ある小さな町が注目を集めている。岡山県の北東部、鳥取県との県境にある「奈義町」だ。
この町の2019年の出生率は2.95。2019年の全国平均が1.36であることを考えれば、驚異的な値である。2022年には2.21に減少したものの、同年の全国平均1.26と比べると、圧倒的に高い水準を維持し続けている。どうして、この町ではこれほど多くの子どもが生まれるのか。その秘密を探るため、NEWSポストセブン取材班は奈義町を訪れた。【前後編の前編】