企業CMのようなエンタメ性はない
そもそもACジャパンのCMは社会的なメッセージ性が重要なため、ストレートな内容でまじめに訴えかけるものばかりであり、エンタメ性はほとんどありません。一方、企業CMは商品をPRするためにエンタメ性を追求するものが多く、「視聴者に笑い、感動、驚きなどを提供しよう」というサービス精神があります。
制作サイドも出演者も「短い時間でいかにインパクトを与えて記憶に刻むか」を重視していて、世間の人々はそれに慣れているだけに、ACジャパンのCMばかり続くと「つまらない」と思ってしまう人もいるのでしょう。
少なくとも第三者委員会の調査結果発表までは現在の状況が続くことが有力視されているだけに、フジテレビの自社PR、日本広告審査機構、日本民間放送連盟のCMも併せてどのように構成していくのか。通常とは異なるCM編成の配慮が求められていることは間違いないでしょう。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。