閑散とした場所に喫煙所が(城北公園)
1月27日、大阪市で「路上喫煙禁止条例」が施行された。4月の大阪・関西万博の開幕をにらんだ施策で、市は条例施行までに喫煙所の整備を進めてきたが、現場では様々な問題が噴出していた。
条例施行に先立つ1月24日、横山英幸市長は定例会見で、「喫煙可能な場所を1月27日時点で約300か所確保いたしております」と胸を張った。
もともと大阪市では御堂筋など6つのエリアが路上喫煙禁止で、それが市内全域に拡大された。違反した場合は過料1000円が徴収される。大阪・関西万博に向けて“クリーンな都市”を打ち出す狙いとされる。
横山市長が「約300か所を確保」とする内訳は「指定喫煙所」と「情報提供喫煙所」に大別される。指定喫煙所は市が設置・運営するものと民間業者が整備費の補助を受けるなどして運営するものがあり、情報提供喫煙所は条件を満たした飲食店や商業施設を指す。
だが、現地取材では問題点が浮き彫りになった。
まず、「本当にここに必要か?」と疑問を感じる指定喫煙所の存在だ。
旧淀川の河川敷で9.5ヘクタールという広大な敷地の城北公園(旭区)。その一角の公衆トイレ横に、貨物コンテナのような喫煙ブースが設置されている。室内はエアコンが稼働し、灰皿が2つ。
立派な設備だが、平日の昼間は人の往来がほとんどない──昼過ぎにブース内を確認すると、灰皿に吸い殻が3本あるのみ。約1時間、現地で観察を続けても使用者は1人も確認できなかった。
公園のベンチに座っていた初老男性はこう話す。
「土日は家族連れも見るけど、それでも閑散とした公園ですよ。朝6時からのラジオ体操は50人ほど集まるけど、喫煙所が開くのは朝7時から。利用価値がなくて、みんな空き缶が置かれたベンチで吸ってますよ」
生野区の桃谷公園など他にも同様の事例がある。