多様な意見はあっていい。だけど…
しかし、そこまで気丈になれる人ばかりではないはずだ。
「強いバックボーンは何かといえば、正直であることですよ。政治家のなかには名前を売るために強いことを言ったり、パフォーマンスで目立つようなことを言ったりする人はいます。それを私はよしとしない。真実を知らしめるんだと淡々と平常心で語ることです。政治家にとって言葉は命ですから」
鈴木氏は毎日ブログを更新するマメさでも知られる。23年前にSNS発信ができる環境があれば、「もっと反論の機会があったなと思う」とその効用を認めつつ、「元兵庫県議が逮捕される予定だった」といった事実無根の内容を投稿したNHK党の立花孝志氏や、それを鵜呑みにする支持者の存在に、「ある種の危機感を覚える」とも語った。
「日本は、民主主義だから多様な意見があっていいと思います。ただ嘘やデタラメや作り話は許されない」という鈴木氏の言葉は、当然の理でありながら、今あらためて重く響く。
■取材・文/広野真嗣(ノンフィクション作家)