在留資格認定証明書
「外国人労働者の受け入れ」に、自治体は
欧米に比べて日本は移民の受け入れが遅れていると言われることがある。悪名高い牛久入管収容所(東日本入国管理センター)のニュースなどを見て「日本は外国人に厳しい国だ」といったイメージを持っている人はいまだに多いだろう。たしかにそういう面はある。同時に、世界にも稀な「緩い」永住資格認定制度を持つ国、それが日本なのである。
これが、外国人にとっては魅力的であることは言うまでもない。
内戦中のミャンマーのように、母国に帰ると安全が保証されない現状にある人なら、なおさらありがたいだろう。
真面目に働いて試験に受かれば、安全で、インフラも整備されていて、兵役もないこの国で家族と一緒に住めるのだから(実際、ミャンマー人から話を聞くと、帰国したら、召集令状が届いて2年間軍にぶち込まれるおそれがあるという)。
もちろん、日本で働く外国人がみな永住を目指しているわけではない。出稼ぎ気分で日本に来て、「思ったより稼げないし、やっぱり韓国に行こう」みたいな人も多い。ただ、日本に滞在しながら難民申請を繰り返している人々も含めて、永住資格を目的にしている層がかなりいることは事実だ。
この現状が、日本にとっていいことなのか悪いことなのかは簡単には結論を出せない。
国のあり方についてはさまざまな価値観があるだろうし、どの立場から見るかによっても意見は変わるだろう。
確実に言えることは、人手不足の業界、はっきり言えば「日本人が嫌がる仕事」をする人材確保に苦労している業界にとっては、理由はどうあれ外国人材が日本に来てくれるのはウェルカムだということだ。
《日本経済新聞社が実施した全国首長アンケートで、外国人労働者の受け入れに首長が積極姿勢を示していることがわかった。人手不足を背景に6割以上が自らの地域で「受け入れたい」と回答。6年前に実施した調査で3割前後にとどまっていた職種別の受け入れ意向が今回は6~7割に増えた。
2023年10~11月に47都道府県知事と815市区長に人口減の現状と対策についてアンケート方式で調査した。知事全員と690市区長から回答を得た。》(2024年2月25日 日経グローカル)
これは全国の首長に対するアンケート結果だ。ここ数年で「外国人材ウェルカム」の割合が激増したことがわかる。
さまざまな意見はある。とはいえ「もう外国人材、受け入れざるをえないよね」という全体的なコンセンサスは取れてきている。これが現実である。
(第3回に続く)
『日本人が知らない 外国人労働者のひみつ』(白夜書房)