さまざまな場所で活躍する外国人人材
日本のさまざまな業種で、外国人材なしには立ちゆかなくなっている。円安で日本の魅力が低下している今、外国人労働者に選ばれ続けるためにはどうすればいいのか。そのヒントになりそうなのが、外国人材は日本をどう見ているかという視点だ。そこから見えてきたのは、時代遅れの日本人の意識だった──。
外国人材と人手不足の日本企業を多数マッチングしてきた「株式会社ジンザイベース」の代表取締役・中村大介氏が、外国人労働者の実態を綴った『日本人が知らない 外国人労働者のひみつ』(白夜書房)より、外国人材を受け入れるうえで大切な考え方をお届けする。(同書より一部抜粋して再構成)【全4回の第4回。第1回を読む】
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インドネシア人女性は、日本人と接するなかで「?」と感じることがあっても、たいていは「多分、外国人に慣れてないだけだ」と思って流しているという。
そんな彼女も、初めて来日したときにはいまだに忘れられないショッキングな経験をしている。
まだコロナ禍の時期だった。日本での最初の職場がある京都に来て、1週間ほどしたある日、散歩をしていて花屋を見つけた。花好きな彼女が店に入っていくと、突然、店にいたおばあさんに「何しに来たの」と言われた。そして「あなたが来たからコロナが増えているんですよ」とも言われた。
さすがにショックだったそうだ。無理もない。
ここまでひどい話でなくても、「レジスタッフをしていたとき、名札を見て外国人だとわかって、違う列に移動した」(ベトナム人女性)みたいな話はよく聞く。
「日本語でコミュニケーションができるか心配で、それで日本人が対応している列に行ってるかもしれないし。僕はそれぐらいはあんまり気にしないですね」(ミャンマー人男性)という人もいるが、やはり褒められた行動ではない。
私が感じるのは、日本人でも年配の方と若者世代とでは育ってきた背景の違いが大きく、それが外国人に対する態度にも現れているということ。
特に、外国人と接触する機会が少ない地方在住、かつ年配の方となると、古い感覚が濃いめに残っている。若い世代では死語になっている外国人への差別呼称を普通に使う人もいる。時代を間違えているのだ。