内装・外装業で働く外国人も多い(イメージ)
現役世代が、絶対に「残存」させてはいけないこと
正直なところ、ご年配の方々の感性を今から変えようというのは難しいとも思う。だが、外国人材とともに働く現役世代の人たちは、外国人を下に見る感覚を間違っても残存させていてはいけない。
日本で働くことの金銭的なメリットはどんどん目減りしている。円安のせいばかりではない。たとえば今、日本で働く人が増えているインドネシアは、20年後には日本を抜く経済大国になると言われているのだ。
こうした時代の推移を把握せず、いまだに上から目線で接しているようでは、外国人材に選ばれない国になってしまう。特に人手不足で外国人材を必要としている地方ほど、深刻な事態が起きる。けれども、いまだに「奴らは日本に来たがってるんだから大丈夫」「うちの会社に定着しないあいつらはおかしい」という感覚でいる会社もたくさんあるのだ。残念なことに。
それに対して、初めて外国人を雇う会社、これまで外国人との接点が少なかった会社にありがちなのが、「外国人だからといって構えすぎてしまう」こと。もちろん文化の違いなど気をつけなければいけないことはあるが、あくまでも「普通の人」を相手にするという意識も大事である。
日本人と言っても、出身地によって気質や文化の違いはある。性別によっても配慮しなければならない点は異なる。それでも、まともな企業ならば「みな同じ人間」という原則のもとに扱うはずだ。
ひと昔前まで「男の職場」だった会社でも、今はどこも女性社員へのセクハラ防止の配慮ができている。かつてはどう扱っていいかわからない「部外者」だった女性たちを、ちゃんと受け入れられるようになったわけだ。
働く人の国籍の違いも、同じように考えればいいのだ。
逆に言うと、外国人材の受け入れができない会社は、人を雇う側として当たり前のことができていない、という実態を露呈させているとみなされても仕方ない。
(了。第1回を読む)
『日本人が知らない 外国人労働者のひみつ』(白夜書房)