判決言い渡し一週間前の水原被告。肩まで伸びたロン毛(Backgrid/Aアフロ)
世間からの嘲笑的な視線にもかかわらず、英政が居酒屋のカウンターに立ち、公衆の面前で働いている姿に、私は驚かされた。
「しばらくは仕事に出なかったです。もう辞めるつもりだった。でも幸い職場から戻ってきてくれって言われて、それでお言葉に甘えて。こっちも生活があるから遊んでいられないんで」
英政がいまだに根に持っていると言うのは、フジテレビの男性記者が騒動発覚当日、英政の自宅に押しかけた直撃だ。
夜に家を訪問した記者は、玄関のドアにマイクを向け、水原の賭博について尋ねた。家の中からは英政の声が聞こえた。
「知らないよ、俺は」
続けて英政の妻とみられる女性が言った。
「帰って!」
この場面の映像は全国ニュースに流れ、大きな話題になった。英政が語気を強めて振り返る。
「(解雇が発表された)その日かなんかだよ。(事情を)わかるわけないじゃん、本当に。(映像の)前後で、俺も『フジテレビの〇〇さんですね?』と一応、確認したりとかしているの。いきなりあんなこと言うわけないでしょ? そういう前後関係が一切出ていないでしょ? 俺が叫んだり、うちの(妻)が帰ってくださいって言った一瞬しか切り取られていない。だからメディアってそういうもんかって思ってね」
英政のメディア不信は極めて強く感じられたが、一方で、英政がたまにぼそっと呟く一言から、内心は色々と訴えたい事情があるのが透けて見えた。
英政は、保釈中の水原とは連絡を取り合っているという。違法賭博について問うと、英政が言葉を選びながら話す。
「やったことは仕方がない。わかんないけど、あいつも謝るなら謝るで何かしなきゃいけない」
そうは言いつつも、どこか腑に落ちていないような複雑な胸中がうかがえた。
「一平が何かしたのはわかるよ。でもね、ウチらだって、こんなこと言ったらあれだけど、(色々)あるからね。そのうち出るからそれまで待ったら? 俺の口からは言えない」
何か言い分があるのか。本当は吐き出したいのかもしれない。